2021 Fiscal Year Research-status Report
就労支援事業所が求める就労能力と精神障害者就労能力のマッチングツールの開発
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20K02317
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
福浦 善友 久留米大学, 医学部, 講師 (00572942)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | work ability / mental illness / employment / work environment / mental health care / rehabilitation / self-management / motivation |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,精神障害者の就労能力を明らかにし,就労継続に向けて実用的なマッチングツールを開発することである. 2021年度は,精神障害者の就労及び仕事継続に向けた就労能力の概念分析を行い,精神障害者の就労能力の概念枠組みを明確にした. 研究方法は,Rodgersの概念分析手法を用いて分析を行った.1978年から2020年までに発表された海外の文献を対象とし,看護学,精神医学,社会学など多くの学問領域を含めてpubmed,scopus,google scholarで検索した.検索の結果,最終31件の文献を分析対象とした. 概念分析の結果,就労継続に伴う「精神障害者の就労能力」の特徴を示す属性4つ,先行因子7つ,帰結5つが抽出された.精神障害者の就労能力の属性は,【就労継続にともなう自己管理能力】,【対応する能力】,【職務専念能力】,【計画的能力】の4つが特定された.精神障害者が働き続けるプロセスにおいては,就労能力以前に一定程度の条件があった.この条件の特徴は,先行要件として職場の状況と個人の能力の2つに大別され,職場の状況には,【従業員の仕事の能力を信じる職場】,【サポート体制のある職場】,【安心感のある職場】の3つのカテゴリー,個人の能力には,【対人交流技能】,【仕事に向けた能動的志向】,【健康管理能力】,【基礎的日常生活力】の4つのカテゴリーに分類された.精神障害者が就労を継続すると,【自立の獲得】,【人間的つながりの発展】,【セルフケアの維持向上】,【幸福感の獲得】,【ポジティブな自己変革】の5つに至っていた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
精神障害者の就労能力における概念分析によって概念構造を明らかにした.この概念分析の結果が,実際に働いている精神障害者の就労能力の構造としても実証できるかどうかを明らかにする必要があるため,現在質問紙原案を作成している. そこで,精神障害者の就労能力における構造の実態を明らかにするために作成した質問紙の質問項目が適切かどうか,関連性および必要性についての評定を,精神障害者の就労支援に精通した実践者および研究者10名に実施してもらい,質問紙原案の修正をおこなった. 質問紙原案の修正後,実際に働いている精神障害者にプレテストをおこない,さらに一部修正を行った質問紙を使って,全国の働く精神障害者に対してアンケートの本調査を実施する準備段階に入っている.
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Strategy for Future Research Activity |
全国の障害者就業・生活支援センターおよび就労継続支援A型事業所の各施設を無作為抽出し,現在働いている精神障害者を対象にアンケート調査を実施し,論文作成を行う.
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Causes of Carryover |
COVID-19によって,海外出張や学会に参加できなかった. 今後の使用計画については,全国的に就労継続支援事業所へのアンケート調査を開始するにあたり印刷業者への印刷依頼費,分析にあたり統計解析支援サービス費,英文翻訳・校正費,海外への投稿費が必要となる.
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