2023 Fiscal Year Research-status Report
就労支援事業所が求める就労能力と精神障害者就労能力のマッチングツールの開発
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20K02317
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
福浦 善友 久留米大学, 医学部, 講師 (00572942)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 精神障害者 / 就労継続 / 構造 / 共分散構造分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度は精神障害者の就労能力の概念を概念分析によって明らかにし,2022年は,全国の働く精神障害者に質問紙調査を実施し就労継続能力尺度を開発した.それらに基づいて,2023年度は日本における精神障害者の就労継続モデルの検証を目的に分析を行った. 2021年度の概念分析で明らかにした精神障害者の就労継続の構造は,個人的生活基礎能力と職場環境が就労継続能力に影響し,就労継続の成果につながっていた.この概念分析の結果をもとに,実際に働いている精神障害者の就労継続に必要な能力の関連性について仮説とする概念枠組みを作成した.調査内容の妥当性を検討するため,精神障害者の就労支援に精通している専門家10名に対して,質問項目の適切性を確認した.この質問紙調査によって得られたデータをもとに共分散分析を行った.調査によって得られたデータは回収率が29.6%と低い結果であった.性別,年齢,診断名,通院の有無,精神科内服,今の職場の休職回数,転職の有無などを基本属性とした.就労継続における観測変数間の関連は中程度の相関がみられたため,共分散構造分析にて因果モデルの検討を行った.その結果,モデルの適合度は,GFI=0.999,AGFI=0.997,CFI=1.00,RMSEA=0.00と極めて高い適合を示した.この結果に基づいて検討したところ,個別的な生活基礎能力と就労継続能力は別個に存在するのではなく,合わせた能力として就労継続の成果を得ていた.また,個別的な生活基礎能力と就労継続能力を合わせた能力は職場環境に影響を与え,職場環境を介して就労継続の成果に影響していることが明らかとなった.しかし,本結果をもとに論文作成し海外ジャーナルに投稿したところ大幅な修正が必要となり,現在再度分析を試みている状況である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
精神障害者の就労継続モデルを検証し,仮説を棄却後新たなモデルを明らかにしたが,ジャーナルへ論文を投稿したところ大幅な修正が必要となり,分析過程を見直している.改めて論文投稿を視野に入れて分析および考察などの修正を行っているため,やや遅れている.
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Strategy for Future Research Activity |
精神障害者の就労継続の構造を明確にすることの目的と意義を確認するため文献レビューを深めた.研究遂行に向けて分析は統計学の専門家に再度相談している状況である.また投稿するジャーナルを再検討し,投稿先の論文投稿規定に合わせて研究分担者とともに全体を修正している.
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Causes of Carryover |
論文を作成し投稿したところ大幅な修正が必要となり,再度分析と考察などを検討することとなった.検討するにあたって時間を要するため論文を取り下げた.投稿料が発生しなかったため次年度に持ち越すこととなり次年度使用額が生じた.
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