2020 Fiscal Year Research-status Report
Effects of colonic hydrogen on microglial activation induced during depression
Project/Area Number |
20K02325
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Research Institution | Nayoro City University |
Principal Investigator |
山本 達朗 名寄市立大学, 保健福祉学部, 准教授 (90379389)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 大腸水素 / うつ病 / ミクログリア / 炎症 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、『「腸内細菌叢が食物繊維を基質として生成する水素は、うつ病などに見られる脳内ミクログリアの活性を軽減する」という仮説を証明し、腸内発酵を活性化させる食物の摂取によって社会的ストレスなどに起因する精神疾患の治療や発症予防に貢献する研究を行うこと』を目的としている。申請者は、大腸水素を生成する大腸内発酵基質として、これまでの知見によりフラクトオリゴ糖が適当と考え、5%のフラクトオリゴ糖を含んだ飼料を作成し、それを用いて以下のように検証を進めた。 1)大腸水素が脳に達する量を検討する:2週間にわたり5%フラクトオリゴ糖または通常食を摂取したマウスにおける左心室血の水素量を測定し比較したところ、5%フラクトオリゴ糖を摂取したマウスにおいて有意な水素含有量の増加を確認した。また、採決直前に測定された呼気放屁水素量においても、5%フラクトオリゴ糖摂取マウスは有意に高い水素量を輩出していた。これらの結果は、フラクトオリゴ糖を発酵基質として大腸内で生成された水素は、血流に乗り肺に達し、多くがガス交換時に大気中に呼出されるが、それでもなお全身に回る左心室血中には多くの水素が含まれていることを示した。 2)うつ病モデルマウス創出:過去の研究法に従い、うつ病モデルマウスの創出を試みた。しかし、令和2年度中には創出に至らなかった。従って、令和2年中に行う予定であったモデルマウスを用いたストレスに起因する脳の酸化ストレスに対する大腸水素の効果検証については実行することができなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
令和2年度には、フラクトオリゴ糖の大腸水素生成に対する有用性を確認し、その飼料を用いて、うつ病モデルを用いた検討を行う計画であった。しかし、新型コロナウイルス感染症の影響によって、講義形態の変更(対面→オンデマンド)に対する対応、学内研究活動において感染拡大防止措置の一つとして学生の研究活動制限が行われたことによる研究体制の構築が困難になるなど様々な制限が加わった1年であった。このことから、研究活動に向けるべきエフォートが申請の通りにならず、進捗がやや遅れる形となった。
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Strategy for Future Research Activity |
令和3年度に関しては、令和2年度に実行できなかったうつ病モデルマウスの創出を早急に行い、同時に5%フラクトオリゴ糖の脳の酸化傷害に対する抑制効果について詳細に検討していきたいと考えている。また、関連する遺伝子の発現、炎症性サイトカインの解析など行っていく。
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Causes of Carryover |
令和2年度は新型コロナウイルスの影響によって、学会等の中止が続き、旅費として計上していた40万円が未使用となったことが大きな要因である。これらについては、令和3年度において、一部を旅費や論文校閲の費用として使用し、その他多くを遺伝子の網羅的解析などの新な知見を得る費用として使用する予定である。
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