2023 Fiscal Year Research-status Report
知的障害者の青年期・成人期における肥満対策を目的とした健康づくり支援システム開発
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20K02326
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Research Institution | The University of Nagano |
Principal Investigator |
稲山 貴代 長野県立大学, 健康発達学部, 教授 (50203211)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大河原 一憲 電気通信大学, 大学院情報理工学研究科, 教授 (30631270)
小島 道生 筑波大学, 人間系, 准教授 (50362827)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | ダウン症候群 / 健康づくり / 身体活動 / 青年期 / 肥満 / 歩行 |
Outline of Annual Research Achievements |
青年期・成人期のダウン症者を対象に、2021年度、2022年度に実施した身体活動に関する横断調査から得た①対象者の50%がBMI 25以上であり、②中高強度(MVPA)の活動時間が平均73.4(95%CI 65.9-80.9)分/日であったものの、BMI 25以上の群ではMVPA時間、特に歩行を伴う低強度およびMVPA時間が有意に短かったこと、③1日10分、不活動の時間を歩行系のMVPA時間に置き換えることで、BMIが有意な低値を示す可能性があることを学術雑誌にて発表した。 この成果を得て、日常の生活の中で、歩行系の活動時間を増やすための取り組みを支援するためのプログラム開発に着手した。筋緊張が弱い、保護者などの支援者と一緒の行動が多いなどの特性から、実現可能性の高いプログラム作成を目指し、当事者コミュニティ(主として保護者)を対象に生の声や実生活からのニーズの把握のためのグループインタビューを実施した。具体的には、日本ダウン症協会に所属するダウン症者の保護者19名を対象に,半構造化形式で作成したインタビューガイドに基づき,3グループにわけ,(1)日常生活で実践している身体活動の取り組みや工夫,(2)実践する上で困っていること,(3)身体活動促進のための仕組みづくりの3点について、各90分間のインタビューを実施した.その結果、主に、ダウン症者は徒歩通勤や家事労働が多いこと、ICTツールを活用している者が多いこと、また、保護者自身が加齢に伴う将来への健康不安があることなどの意見を得ることができた。このような声をもとに、歩行を促すツールとして、ダウン症者の特性を考慮したアプリの開発を行い、次年度の介入計画の検討をすすめている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
COVID 19感染拡大の影響により、当初、当事者コミュニティへの研究協力依頼ができず、調査等にはいることができなかったものの、その後、コミュニティメンバーの口コミ紹介等で、予定の調査協力者を得ることができた。初年度からは予定遅れているものの、申請計画の順序にしたがい、研究をすすめることができている。
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Strategy for Future Research Activity |
[研究1:横断研究]は終え、現在、「ダウン症者の肥満の実態とその関連要因を明らかにする」ことを目的とした論文の学術雑誌での発表を終えた。 [研究2:介入計画]では、横断調査の結果のフィードバックを済ませた。その後、複数の団体代表者からフォーカスグループインタビューについて協力を得ることができ、3つのグループを対象に、健康づくりプログラム作成に向けたインタビュー調査を実施した。また、インタビュー調査の結果に基づき、研究者間で協議し、健康づくり支援アプリを開発した。あわせて、インタビューから得られた保護者自身の将来への健康不安解消につながる介入プログラムの企画についての検討をすすめた。 [研究2・3:介入の実施と成果の普及] 2023年度に検討した介入企画を実施する。対象集団には介入研究協力の内諾を得ている。介入は、①ダウン症者を対象とした歩行行動を支援するアプリを活用したプログラム、②保護者や周囲の人を対象としたヘルスリテラシー向上を支援する情報提供型のプログラムを予定している。その結果をもとに、支援アプリの実用性の検証、健康づくりガイドブックを作成する。成果は、(公財)日本ダウン症協会、当事者団体(親の会)、地域関連団体などを通して広く還元する予定である。
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Causes of Carryover |
COVID19感染症拡大の影響で、調査開始が1年以上遅れてスタートしたため、当初の計画通りには予算を使用することができていない。2024年度においては、2023年度の結果を基に企画した介入計画を実施に伴う消耗品や旅費、会議費等の支出が予定されている。また、2023年度のフォーカスグループインタビューの成果等をまとめた論文投稿費用が派生する。
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Research Products
(4 results)