2021 Fiscal Year Research-status Report
経口摂取可能なインスリン代替機能性成分の実用化に向けた研究
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20K02329
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Research Institution | Prefectural University of Kumamoto |
Principal Investigator |
友寄 博子 熊本県立大学, 環境共生学部, 准教授 (10347700)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池田 剛 崇城大学, 薬学部, 教授 (80295138)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 海藻 / 海苔 / のり / 血糖降下作用 / インスリン / 糖尿病 / 機能性食品 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は昨年度に引き続きインスリン様作用成分の簡易抽出方法の検討を行った。海苔から簡易的に大容量抽出するためのエタノール濃度の検討を引き続き行った。使用するエタノール濃度を下げることでエタノール使用量を減らし、コスト削減と効率の良い抽出を目的としている。昨年度に比べてより詳細に検討を行ったが、結果のばらつきが大きかったことから、次年度も継続して確認していく予定である。続いて、海苔から大容量抽出した試料を用いてカラムによる精製を試みた。すでに血圧を穏やかにする効果で特定保健用食品として販売されている海苔ペプチドの精製方法を利用し、カラムクロマトグラフィーにて分離を行ったところ、分離した画分すべてにインスリン様作用が見られ、この方法で分離することはできなかった。したがって、次年度も引き続き分離方法を検討していく予定である。インスリン様作用成分の作用機序解明についてはこれまで糖質消化酵素阻害作用を示さないことを明らかにしてきたが、本年度は吸収に影響を及ぼすかについて検討した。ラットにおけるin situ小腸灌流実験を行ったところ、同じ系統のラットで行った糖負荷試験時に血糖値を下げた投与量を加味した量で糖質の吸収に影響を及ぼさなかった。このことから、海苔試料は消化酵素阻害作用を示さず、吸収も邪魔しないものの血糖値を下げることが明らかとなった。このことから、海苔試料は体内でインスリン様に働くことで血糖値を低下させる可能性が高まった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
おおむね順調に進展しているとした理由は、本年度予定していた研究成果が得られたことと、その成果を発表できたことによる。
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Strategy for Future Research Activity |
これまで扱った海苔試料はすべて板海苔状に加工され、市販品と同じように加工されていたが、それより品質が低いため、板状に加工されることなく、洗浄・乾燥加工の処理のみの試料がある。この試料とこれまでの板海苔試料を比較することで、より安価で加工工程が簡単な原料を確保することが可能か検討を行う。また、引き続き適切な抽出エタノール濃度を決定し、さらに効率的な精製方法の確立を進める予定である。また、インスリン様作用成分の作用機序解明において細胞へのグルコースの取り込みを直接評価する必要がある。そこで、動物細胞を用いて海苔試料がグルコースの取り込みにどのように関与しているか検討を始める予定である。
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Causes of Carryover |
当該年度も昨年度に引き続き、新型コロナウィルスの蔓延により学会がオンライン、県外への不要不急の出張ができなかったことから、旅費の支出が大きく抑えられた。 その結果から支出額が大幅に変更になった。2022年度も学会はオンラインと会場開催が混在している状況であるが、県外への出張は不透明であることから、旅費の支出分については論文執筆や研究に関する試薬や機器等の支出に充て、研究内容は今後も変更なく進めていく予定である。
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Research Products
(1 results)