2021 Fiscal Year Research-status Report
ケミカルIoTセンサと感性AIによる多元的「おいしさ」モニタリングシステムの開発
Project/Area Number |
20K02330
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Research Institution | Hokkaido University of Science |
Principal Investigator |
渡部 智希 北海道科学大学, 工学部, 講師 (60254702)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小島 洋一郎 北海道科学大学, 工学部, 教授 (50300504)
一戸 善弘 北海道科学大学, 工学部, 准教授 (40712089)
伊藤 佳卓 北海道科学大学, 工学部, 助教 (90849142)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 光計測 / 食品 / 識別 / 評価 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、光学的な理論を基盤として、液状食材などの品質を簡易に評価することを目標の一つとしている。これまで既知の被検レンズ測定を行い、Talbot像とモアレ縞によるTalbot干渉計の高い精度が実験で示された。 本年度は、この光学的なアプローチとしてTalbot干渉法を用いた砂糖水や食塩水などの水溶性飲料の濃度とモアレ縞傾角との関連を測定している。この場合、溶液を入れるセル(容器)を選択する必要があり、セルの材質、材質の厚さ、セル幅などの検討を行った。材質は加工のしやすいアクリル及びポリカーボネートの2種類をから選定した。その結果、耐熱性のあるポリカーボネート製で板厚2mm、液体間隔2mmが今回製作したセルの中で最適と判断された。水を入れない状態でのモアレ縞傾角は被検体を入れないものと同様に水平となるが、30℃の水を入れると傾角は23.1°と変化した。同様に飽和砂糖水の測定を行いモアレ縞傾角は32.1°と変化した。これらの原因として考えられるのは飽和砂糖水にすることで粘性係数が変化し、モアレ縞傾角に影響を与えていると考えられる。この結果よりモアレ縞傾角による溶液濃度測定の可能性が示唆され、「甘さ」の指標にもなると考えられる。 また、食品の品質評価において、機器管理や維持管理に多くの費用を要するため、廉価な評価技術が必要である。そこで画像の色味データから分類することを提案している。画像撮影には身近なカメラ付携帯末端を利用し、画像の色味解析には汎用画像解析ソフトと統計的手法である多変量解析を活用してサンプルの分類を行っている。本年度では乳製品飲料水の分類とスパイス系調味料の分類について検討を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
均一な溶液の場合、屈折力を示すモアレ縞傾角は直線となるが若干湾曲となっている部分があり、これが直線となる様な測定セルの開発が更に必要である。本年度、得られた水溶液の結果は円形セルの中心部のモアレ縞傾角を測定したものである。 乳製品飲料水の分類では、画像の色味データから種類の分類やメーカー間における分類技術の可能性を見出した。一方、スパイス系調味料(固形カレールー)ではメーカーによる違いはクラスター分析によるテンドログラムにより分類の視覚化が容易であったが、同じシリーズのサンプルの辛さによる見た目の違いは得られなかったため更に研究を進める。
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Strategy for Future Research Activity |
Talbot干渉計における実験では、更に最適なセルの材質としてガラスセルを作成するつもりである。また、水溶液以外の測定として食用油の測定を考えている。食用油は揚げ物などに使用されているが、劣化した油を用いると、食品がべたつき、「おいしさ」を損なってしまう。このため、様々な食用油がモアレ縞傾角に与える影響について検討し、その後、使用済み食用油のモアレ縞傾角を測り、新しい油との比較を行いたい。この傾角の違いにより食用油の劣化度合いを定量的に示すことができるのではないかと考える。食品を揚げる際の酸化度や水の混入などによりモアレ縞傾角に変化を与えると考えられ、「おいしさの」指標のひとつとなると考えられる。 乳製品飲料水の分類手法においては、サンプル個々での分類を画像処理で迅速廉価に評価する手法を探ることである。 また、光学的な実験原理をもとに申請したシステムを組み上げると同時に、市販の小型で軽量なカメラを有効に活用し、双方の利点から新規実験系の開発を進める。
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Causes of Carryover |
コロナ禍中により、当初計画していた実験項目への対応に予想以上の時間を要するに至った。次年度は、この状況を鑑みて、研究の方策を見直し、実験を行う予定である。
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Research Products
(4 results)