2021 Fiscal Year Research-status Report
3Dバーチャルボディを生かした現代に求められる実物ボディ(人台)の開発
Project/Area Number |
20K02331
|
Research Institution | Kyoritsu Women's University |
Principal Investigator |
丸田 直美 共立女子大学, 家政学部, 教授 (70183621)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 中年女性 / ボディ / 体型分類 / 三次元計測 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度の研究結果より、中年女性の体型は大きく4つに分類できた。具体的には、若者(20歳代)に近い体型群(CL1、CL2)と、体幹部の周径が大きい中年によく見られる体型群(CL3、CL4)であった。この結果より、中年女性として一つの体型を考えるのではなく、若者に近い体型と中年らしい周径が大きい体型で別々に検討する必要があることが示唆された。 しかし、分類された4つの体型群をJIS規格に照らし合わせて検討した結果、CL1,CL2は9ARサイズ寸法に近いサイズ値ではあるが、CL1はやや大きく、CL2は小さく、合致しなかった。また、CL3は19ARサイズ、CL4は15YRに近いサイズであり、共通して腹部の厚みが顕著ではあるが、CL4はY体型(A体型より4㎝ヒップ寸が小さい)となり、CL3と体型が異なった。この結果より、両体型群それぞれにおいても、2つのタイプの体型の違いが確認され、実際のボディを制作するにあたって、どの体型群を使用するのがよいのかを検討する必要があると考えられた。 そこでまず、若者に近い体型群の検討を行った。CL1、CL2は9ARサイズ寸法に近い体型であった。9AR体型はJISサイズの中心値であり、アパレルメーカーにおいて最も基本とされるサイズである。このサイズはバスト、ウエスト、ヒップの3つの寸法で表されているが、年齢の違いによってウエスト寸法設定が異なっているのみである。言い換えると、ウエストサイズ以外はすべて同じと考えられている。そこで、9ARの同サイズの若年と中年を比較し、形状差を検討した。その結果、寸法において同一であっても、両者は同じ形状ではなく、細部に違った特徴を持っていることが分かった。これは、若年用原型を使用して中年用の衣服設計をすると、着用に不具合が生じることを意味しており、中年女性向けボディ及び衣服設計の必要性を再認識する結果となった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
2020年度に予定していた中年女性の体型分析に関しては、若年女性との全身平均形状での比較、中年女性の主成分分析、クラスター分析を経て、体型分類等を行い、ほぼ終了したといえる。その結果、中年女性の体型は大きく4つの体型群に分類することができたが、中年女性の体型は非常に個人差が大きく、1つの体型に絞ってボディを開発することの難しさに直面した。そのため、ボディの開発において、どの体型のボディを選択するのかの検討がさらに必要であることがわかった。 そこで2021年度は当初の計画にはなかった、アパレルにおいてサイズの基準とされる9ARサイズ(バスト83cm、ウエスト64~67cm、ヒップ91cm)を取り上げ、9ARサイズの若年女性と中年女性の体型を比較した。サイズは同じであるが、形状はどうかを比較し、衣服用のパターンにした場合の着装状況について検討した。その結果、サイズは同じでも形状に違いがある部位がみられ、若年女性のパターンをそのまま中年女性に使用することの不都合さが明らかになった。 上記の検討を行ったことにより、2021年度には制作するボディのタイプを選択する予定であったが、まだ選定まで進めていない。これらの作業を、今年度(2022年度)の活動として行う予定である。
|
Strategy for Future Research Activity |
今年度は最終年度であるため、本研究の目的である中年女性のボディ制作を行う。しかし、どのタイプのボディを制作するかまだ決定できていないため、まず、若者(20歳代)に近い体型群と、体幹部の周径が大きい中年によく見られる体型群からそれぞれ1体ずつ選択して、計2体の3D形状(発砲スチロール)の試作を試みる。その後ボディ制作を行う予定であるが、2020年度に行ったボディメーカーへの聞き取り調査より、実際の体型形状が必ずしも衣服設計しやすいものとは限らない、ということがわかった。そこで、実際の形状をもとに、衣服制作を行うためのボディを検討したいと考えている。 さらに、そのボディを用いて衣服制作を行い、そのボディの検証を行う予定である。
|
Causes of Carryover |
2021年度も新型コロナウイルスの感染再拡大の影響で、研究計画が予定通り遂行できなかった。また、研究を進めていく過程で、新たな課題が生じ、制作ボディのための形状の検討を行うに留まった。そのため、2021年度に予算計上していた、中年女性の3D形状(発砲スチロール)を制作することができなかった。そこで、2022年度はまず、繰り越した予算を使って、2021年度にできなかった3D形状(発砲スチロール)の制作行う。その後ボディ制作に取り組む。
|
Remarks |
「加齢に伴う身体特性の変化」,(一社)日本家政学会被服衛生学部会公開講座「衣服と健康の科学、最前線ー加齢に伴う私たちの変化と適応の方法ー」講師
|