2020 Fiscal Year Research-status Report
デハイドリンが食品物性改良効果に及ぼす影響とその作用メカニズムの解明
Project/Area Number |
20K02332
|
Research Institution | Tokyo University of Agriculture |
Principal Investigator |
風見 真千子 東京農業大学, 農学部, 助教 (60761046)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | デハイドリン / 特徴的配列 / 置換変異 |
Outline of Annual Research Achievements |
デハイドリンは、種子形成後期に発現するタンパク質であり、乾燥等のストレス条件下で発現が誘導され、植物組織のタンパク質や膜を保護する機能を持つ。デハイドリンのアミノ酸配列上には、いくつかの特徴的な配列の存在が報告されており、近年、その中でもK-segmentと呼ばれる配列が乳酸脱水素酵素の凍結変性防止に寄与している可能性が報告されている。しかし、デハイドリンが食品の物性に与える影響について、特徴的配列に着目し検証された例はこれまでにない。そこで本研究では、大豆由来デハイドリンの部分置換組み換えタンパク質を作製し、食品に対する物性改良効果を比較することで、その作用メカニズムを明らかにすることを目的とした。 令和2年度は、既に取得済みの大豆由来デハイドリンの配列が挿入されているプラスミドを鋳型に、PrimeSTAR Mutagenesis Basal Kit(TAKARA)を用いて、K-segmentの塩基配列を別の特徴的配列であるY-segmentに置換することに着手した。さらに、当初の計画には無かったが、鋳型として使用したデハイドリン組み換えタンパク質のN末端側に存在しているY-segmentをK-segmentに、さらにもう一つの特徴的配列であるS-segmentに置換変異することにも着手した。 以上のように、部分置換体の組み換えパターンを当初の予定より増やしたことで研究の幅が広がったため、令和3年度以降の研究において、より詳細な作用メカニズムの解明が期待できる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究の遂行に必要不可欠な抗体などの一部試薬や消耗品が、コロナ禍により大幅な納期遅延や納期未定という状況にあったため、当初の計画通りに研究を進めることが困難であった。一方で、当初の研究計画には無かった配列の部分置換体の作製に着手したことで、今後の研究の幅が広がり、より詳細な作用メカニズムの解明が可能となった。
|
Strategy for Future Research Activity |
引き続き、デハイドリン組み換えタンパク質の部分置換体の発現を行い、それらの性状解析を行う。次いで、それらの部分置換組み換えタンパク質が他の成分に与える影響の解析を行い、最後にタンパク質系食品中における部分置換組み換えタンパク質の局在と物性との関連性を明らかにする。
|
Causes of Carryover |
コロナ禍により、一部の試薬や消耗品が入手困難であったため、既存および入手可能な試薬等を使用して遂行できる実験を優先した。そのために生じた次年度使用額については、令和3年度に行う実験の試薬等の購入費として使用する予定である。
|
Research Products
(1 results)