2021 Fiscal Year Research-status Report
麻痺性貝毒の無毒化を指標とした野菜の新規機能性の検索と調理法の開発
Project/Area Number |
20K02335
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Research Institution | Kobe Women's University |
Principal Investigator |
橋本 多美子 神戸女子大学, 家政学部, 准教授 (60248325)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 野菜 / 麻痺性貝毒 / 除毒 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は麻痺性貝毒(PSP)の除毒を指標とした野菜の新規機能性の検索を行うとともに、危険な食べ合わせを示す野菜の存在を明らかにし、安全な調理条件を確立することを目的とする。 昨年の結果では、毒化した二枚貝に野菜抽出液を添加して加熱調理すると、毒量を減少させる野菜と逆に増加させる野菜があることが明らかとなった。今年度は、野菜添加による増減の再確認を行うこと、毒量が増減する要因を調べることを目的とした。 磨砕抽出した野菜、ペースト状にした毒化貝、水を2:2:1の割合で混合し、20℃または37℃で30分間反応させ、加熱後にマウス毒性試験法に準じて毒性分を抽出し、HPLC分析に供した。その結果、6種の野菜で毒量が減少し、このうち2種の野菜で毒の減少率が高いことが再確認できた。減毒の可能性の高い野菜について添加割合と加熱時間の関係を調べたところ、加熱15分で大幅に毒量が減少した。毒組成では、C群の低毒性の成分の割合が減少するとともに、dGTX2,3が増加し、還元反応が進んだことが推測された。また、野菜の添加量が毒量の減少に与える影響は少ないことが明らかになった。次に、酵素の影響を調べるため、生の野菜と加熱後の野菜抽出液を添加して毒の分析を行ったところ、生の野菜を添加する方が毒量の減少率が高いことから、野菜の酵素が関与している可能性が考えられた。次いで、DPPHラジカル消去活性法にて測定した野菜の抗酸化力と毒量の関係を調べた結果、両者に相関関係は認められなかった。これらの結果より、毒の減少には、酵素や野菜成分が関与している可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
野菜の添加による毒量の増減の存在について再確認するとともに、毒を減少させる野菜を特定することができた。また、野菜の添加量や加熱時間の影響、野菜の酵素の影響を調べることができた。今後は、毒量と酸化還元力との関係や減毒に関わる野菜成分の有無を検討していく予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年は、引き続き野菜抽出液の添加が毒量の増減に与える影響について、野菜の種類や調理条件の影響について検討を行う。毒量を減少させる野菜の特定ができたため、毒量を減少させる野菜成分関与について調べる予定である。
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Causes of Carryover |
研究が遅れたことと、購入予定の機器備品の部品の納入が大幅に遅れたために2021年度の予算に計上することができなった。しかし、すでに発注はできており、機器備品が納品される予定となっているため、予算は適正に執行できると考えている。
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