2022 Fiscal Year Research-status Report
セレウス菌食中毒の重篤患者発生予防:調理食品での毒素産生影響要因の解明を中心に
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20K02359
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Research Institution | Osaka Institute of Public Health |
Principal Investigator |
河合 高生 地方独立行政法人 大阪健康安全基盤研究所, 微生物部, 課長 (30250319)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | セレウス菌 / 嘔吐毒 / セレウリド / 食中毒 |
Outline of Annual Research Achievements |
喫食後短時間に一過性の嘔吐を発症するセレウス菌嘔吐型食中毒では、まれに肝障害や脳症等の重篤な症状を呈し、死亡例が発生することもある。本研究では、セレウス菌食中毒による重篤患者発生リスクの低減を図るため、細菌学的および遺伝学的手法を用い、調理食品中でのセレウス菌嘔吐毒(セレウリド)の産生性を向上させる様々な要因を調べ、重篤患者が発生しうる危険度の高い食品や条件を解明すること、並びに、迅速診断用に患者材料からのセレウリド検出法を開発することを目的としている。 これまでの結果より、例え食中毒由来株であっても菌株によって寒天培地上でのセレウリド産生性が異なることが判明している。このセレウリドの産生性の違いに、セレウリド合成酵素遺伝子群の塩基配列変化が関係しているかどうかを調べるため、由来が異なるセレウス菌保存株60株の中から、セレウリド産生性が異なる菌株を6段階のクラスに分け、それぞれのクラスから2株以上計18株を選定した。令和5年4月に実施予定とした次世代シーケンサーによるゲノム解析に向け、この18株のDNA抽出を行った。また、MALDI-TOF MSを使用したセレウリドの検出法に関して情報収集を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
令和4年12月の施設移転に向けた準備作業並びに移転作業があったために、研究時間の確保に影響が生じ、予定していた食品への接種実験が実施できなかった。このため接種試験後にゲノム解析を行うとしていた計画を変更し、食品への接種試験に供する予定としていた菌株を含め、寒天培地上でのセレウリド産生性が異なる18株についてゲノム解析を行うこととした。
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Strategy for Future Research Activity |
セレウリド産生量の異なる代表菌株を使って、食品への接種試験を行い、培地での産生量と食品での産生量を比較する。食品については、調理方法を変えたものも準備し、その変更点が食品中の産生量に影響するかどうかを検証する。使用した菌株のセレウリド合成酵素遺伝子群の塩基配列を比較し、配列の相違が産生量に影響したかどうかを検討する。
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Causes of Carryover |
施設移転により食品への接種実験等の主要な実験が実施できなかっため、繰り越されている。 次年度は、実施できていない研究活動のための物品費およびその他に使用する予定である。
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