2021 Fiscal Year Research-status Report
女子体操服をめぐる議論と実践の日米比較―セーラー・ブルーマー型体操服を中心に
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20K02361
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| Research Institution | Ochanomizu University |
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Principal Investigator |
難波 知子 お茶の水女子大学, 基幹研究院, 准教授 (80623610)
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| Project Period (FY) |
2020-02-01 – 2024-03-31
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| Keywords | 女子体操服 / ブルーマー / 改良袴 / 女子師範学校 / 高等女学校 |
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| Outline of Annual Research Achievements |
2021年度は、井口阿くりが留学したスミス大学とボストン体操専門学校の調査を予定していたが、オープンアクセスできるデジタル資料が限られたため、2022年度以降に予定していた日本国内におけるセーラー・ブルーマー型体操服の普及に関する調査と、お茶の水女子大学に所蔵される大正時代の女子体操服の調査を進めた。その結果、以下のことが明らかとなった。
1）井口阿くりが文部省体操遊戯取調委員会委員となり、明治38年に女子向けのセーラー・ブルーマー型体操服を提案したことにより、全国に女子体操服の範が示され、特に女性教員を養成した各地の女子師範学校でこの型の体操服が着用された。現在、確認できているのは、東京女子高等師範学校以外に、宮城県、茨城県、埼玉県、徳島県、広島県、福岡県の女子師範学校である。各地に普及した様子が確認できた。
2）女子師範学校にセーラー・ブルーマー型の体操服が普及したの対し、高等女学校には広まらなかった。高等女学校では、女子向けに考案された袴（襠のないスカート状）が明治30年代以降、女学生の制服として全国に普及した。その後明治末頃より、体操を行う際の不便を解消するため、袴の中央に切れ目を入れ、運動時にズボン状に改変できる改良袴が登場した。この改良女袴を提案した一人が東京裁縫女学校の渡邉滋である。彼は井口阿くりと同時代にアメリカに留学し、スウェーデン体操の体操服のスカート（ブルーマー）を見て、改良袴を考案している。アメリカの体操服の様式が日本の女袴に応用されたこと、またその改良袴が各地の高等女学校の体操服として普及したことが確認できた。
3）お茶の水女子大学に所蔵される大正時代のセーラー・ブルーマー型体操服のパターンを作成するため、各部の計測と観察を行った。その結果、この体操服の特徴の一つとして、腕や肩の動作を円滑にするために、身頃がバイアス裁ちになっていることが判明した。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初予定していたアメリカの女子体操服に関する調査が十分な成果をあげられなかったことが研究の進捗に影響を与えたが、一方で翌年度以降に予定していた研究課題を繰り上げて取り組み、その成果を発表することができた。引き続き、アメリカの女子体操服の実物資料の調査を進めながら、日本国内におけるセーラー・ブルーマー型体操服の普及状況とお茶の水女子大学所蔵の大正時代の体操服の検証を併行しつつ、日米の女子体操服の比較を進めていきたい。
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| Strategy for Future Research Activity |
2022年度は日米の女子体操服の比較に取り組むために、アメリカの女子体操服の実物資料の発掘と分析を進める予定である。井口阿くりが留学したボストン体操専門学校の資料を引き継ぐWellesley大学の所蔵資料を中心に調査を進めるとともに、1900年前後のアメリカの女子大学における体操に関する先行研究および各大学に所蔵される資料、実物がなければ写真資料の収集に努めたい。またそれがうまくいかない場合には、当時アメリカで刊行されていた体操の専門雑誌から女子体操服の実態が窺える記事の収集も考えたい。
この他に、昨年度資料収集を進めた日本の女子師範学校関係資料を分析し、各地でどのようにセーラー・ブルーマー型体操服が着用されたのか、その時期と着用による効果を検証するとともに、洋裁の体操服の調製を誰が担当したのか（生徒本人か、洋装店に注文か）、体操服の裁縫技術が地方においていかに確保できたのかも追究したい。
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| Causes of Carryover |
当初予定していたアメリカの女子体操服の調査が計画通りに進まなかったため、次年度に研究課題を持ち越すこととなった。次年度にアメリカにおける調査（文献購入および資料収集にかかる費用）を行う予定である。
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Research Products
(2 results)
