2020 Fiscal Year Research-status Report
三大アレルゲンを含まないソルガムきび粉の製パン方法の確立と機能性成分の挙動
Project/Area Number |
20K02362
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
高崎 禎子 信州大学, 学術研究院教育学系, 教授 (50171434)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 製パン / ソルガムきび粉 / ミニソルゴー / TDNソルゴー / 粒子径分布 / 糊化特性 / 示差走査熱量計 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,ソルガムきび粉を用いて健康の保持増進につながる日常的に利用できるパンを製造するための方法論を確立する。2020年度は,ソルガムきび粉の基礎特性およびソルガムきび粉パンの調製条件の検討を中心に行った。 ソルガムきびは、ミニソルゴーおよびTDNソルゴーの二品種を用いた。製粉後,一般成分,粒子径分布,糊化特性を分析した。二品種の一般成分は,小麦,大麦,アワ等と比較し,顕著な差は見られなかった。粒子径分布をレーザー回折・散乱法により乾式モードで測定した結果,両者とも強力粉よりも平均粒子径が大きいことが明らかとなった。ミニソルゴー粉の80%程度は,30から161μmに、TDNソルゴー粉では,30から300μmに分布していた。 糊化特性を示差走査熱量計で分析した結果,二品種ともに二つのピークが観察され,ピーク温度,ピーク開始温度,終了温度に明確な差はみられなかった。低温側のピークは71℃付近で,強力粉の値に比べ高温側にあり,糊化しにくい性質であると予想される。 パンの調製は,ソルガムきび粉100gに対して,砂糖10g,塩2g,ドライイースト3g,オリーブオイル4g,水 (40°C) 100gを混ねつ,発酵後,200℃で20分焙焼した。また,必要に応じてヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)を0.7%添加した。パン生地の発酵中のトータルガス発生量をファーモグラフ(アトー(株)製,AF-1101-10W)により測定した結果,ソルガムきび粉生地のガス発生量は,2時間前後で徐々に低下し,強力粉生地とは異なる挙動を示した。製パンの際にHPMCを0.7%添加した場合は,パンの体積は,無添加に比べ1.3倍増加したが,一般的な小麦粉パンに比べると膨らみが悪かった。今回,三大アレルゲンを含まないソルガムきび粉パン調製の可能性を示すことができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルス感染症拡大の影響等で,当初予定していた基礎特性の解明のうち,損傷でんぷん量の測定,レジスタントスターチ量の測定,総ポリフェノール量やDPPHラジカル捕捉活性の測定については,十分な成果を得るに至っていない。今年度に,継続して行う予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度には,2020年度に実施予定であった損傷でんぷん量,レジスタントスターチ量の測定を行うとともに,抗酸化性の評価も行う。また,今回,ソルガムきび粉に対して加水量100%で製パンを行ったが,ソルガムきび粉の粒子径および糊化特性等の違いから,生地調製時の物性には,大きな違いがあった。2021年度には,それぞれのソルガムきび粉の特性に合わせた加水量および増粘多糖類の添加量の検討を行い,パンの調製条件の検討を行う。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症拡大の影響で,当初予定した分析を十分に実施することができなかったために,試薬、ガラス器具等の購入費および分析補助のための人件費において計画通りに執行できなかった。また,学会に参加できなかったことや機器借用ができなかったために旅費においても計画通り執行できなかった。2021年度に、2020年度に十分に成果の得られなかった分析を再度、繰り返して実施することを予定しているので、その際に執行する予定である。
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