2022 Fiscal Year Research-status Report
知的障害特別支援学校高等部における家庭科の授業開発
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20K02366
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
八幡 彩子 (谷口彩子) 熊本大学, 大学院教育学研究科, 教授 (90259763)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 特別支援学校 / 家庭科 / 情報活用能力 / 住生活 / 熊大附特 |
Outline of Annual Research Achievements |
熊本大学教育学部附属特別支援学校(以下,熊大附特)では,令和2年度以降、GIGAスクール構想を先導するICTを活用した授業実践に取り組んでいる.本研究はそうした熊大附特の実践研究の一環として共同研究を行っているものである.令和4年度の研究では,熊大附特高等部第3学年において実施された家庭科の授業実践を分析対象とし,ICT教育の成果として高等部卒業時までに生徒が身に付けた情報活用能力を活用して取り組んだ家庭科の授業を分析・考察した.おもな結果は以下の通り. (1)令和5年1月に,熊大附特高等部第3学年のクラスで実施された住生活の授業では,卒業後の暮らし方,住居の選び方などの生徒の将来の生活に関わる学習題材が設定されたことにより,生徒は必要感を持って学ぶ姿が見られた.また,就職が決まった時期に,卒業後の生活について考える学習に,生徒はわくわく感をもって臨んでいた. (2)将来どのような家に住みたいのか,自分自身の希望をもとに,住居の「条件」を構想し,その「条件」に合う住宅について,手持ちの端末によるインターネット検索,条件に合う物件の絞り込み,外観や内装,間取り図等の情報の比較検討を行った上で,住宅の選択・決定,思考・判断を行うという学習過程は知的障害がある生徒には有効な学習である.また,一連の情報活用・意思決定のプロセスを,ロイロノートを使って記録・提出・共有・発表する方法も生徒の状況把握に効果的であった.ロイロノートの活用により,生徒自身の意思決定プロセスの「見える化」と学習過程のメタ化が図られる効果が確認できた. (3)特別支援学校における家庭科の授業は,通常学級における家庭科の授業以上に,生徒の個別の状況を考慮したリアルな文脈が求められる.上記の授業は,高等部3年間の教育課程全体を通して育まれた情報活用能力の基盤の上に実現した家庭科の学習であったと考える.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
大学の校務(大学院教育学研究科長)のため、研究を進めるために十分なエフォートを確保できなかった。また、熊大附特高等部の家庭科の授業研究のためのスケジュール調整がうまくいかなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
令和5年度は、校務(大学院教育学研究科長の任期満了)が軽減されたため、研究のためのエフォートが確保される見通しである。研究フィールドとなる熊大附特との連絡・調整を密にして研究を推進したい。
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Causes of Carryover |
令和4年度はコロナ禍の状況下で学会等はオンライン開催であったため、旅費を使用しなかった。また、研究フィールドとなる学校とのスケジュールの調整がうまくいかず、予定していた授業参観と分析が実施できなかった。令和5年度は、論文執筆、実践報告書の作成等、研究の成果が特別支援学校における教育の充実に生かせるよう、研究に取り組みたい。
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Research Products
(1 results)