2023 Fiscal Year Research-status Report
地域性に基づいた住宅および医療・福祉分野の連携による居住支援システムの構築
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20K02369
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Research Institution | Prefectural University of Hiroshima |
Principal Investigator |
吉田 倫子 県立広島大学, 保健福祉学部(三原キャンパス), 講師 (00326422)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 居住確保 / 地方都市 / 生活困窮者 |
Outline of Annual Research Achievements |
居住支援の現状について、中国地方の自治体を対象にコロナ禍の影響と居住支援について分析を行った。生活困窮者への相談件数の推移では、コロナ禍前後での10万人あたりの新規相談件数でみていくと、全国平均を上回った自治体は2019年には鳥取県、島根県、倉敷市、広島市、呉市、下関市であった。2020年には鳥取県、岡山市、倉敷市、広島市、呉市、下関市であり、県庁所在地の都市に見られた。コロナが落ち着いてきた2022年に全国平均を上回ったのは、鳥取県、倉敷市、広島市、呉市、下関市であった。これらから、コロナ以前から鳥取県、倉敷市、広島市、呉市、下関市では常に全国平均を上回っていることが分かる。それぞれの自治体で生活困窮者への相談窓口が周知され、また相談自体を積極的に受けているのではないかと考える。また、住居確保の事業等の利用件数(10万人あたり)を見ていくと、2019年に全国を上回る自治体は、鳥取県、岡山市、倉敷市、呉市であった。2020年には松江市、岡山市、倉敷市であった。2022年には鳥取市、岡山市、倉敷市である。コロナ以前は鳥取県や呉市での対応が多かったが、コロナ禍では松江市の居住確保の利用者増加している。一方で、生活困窮者の相談件数と比較してみると、特に倉敷市ではどちらも件数が全国を上回っており、生活困窮者への支援が積極的であると言える。また岡山市では生活困窮者への新規相談件数は全国を下回っているが、居住確保への対応は手厚いことが分かる。これは岡山市を中心として居住支援法人が全国に先駆けてNPO法人などが活動しており、すでに支援のネットワークが構築されていることが影響しているのではないかと考える。 以上から、居住確保の支援が手厚いことから相談件数が上がることも考えられるため、自治体の担当部署が居住支援の必要性をどう感じているか、適切にニーズを把握できているかの検証が必要である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
地方性に基づいた住宅および医療・福祉分野の連携による居住支援システムを検討するために、居住確保の状況把握に努めたが、自治体へのインタビューや質問紙調査を実施できなかった。作業時間の確保が困難であった。
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Strategy for Future Research Activity |
地方性に基づいた住宅および医療・福祉分野の連携による居住支援システムを検討するために、自治体への質問紙調査(居住支援の必要性、居住支援への認識、連携構築に対する意向)を実施するとともに、活発に活動を行う居住支援法人や医療関係者へのインタビュー(居住支援の現状と課題、連携構築への課題)を通して、居住支援システムの課題を明らかにする。
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Causes of Carryover |
インタビュー調査を主に実施する予定である。そのため、謝金等の支払いが生じるものと考える。また、質問紙調査を実施し、データ入力作業にかかる経費、郵送料等の執行が見込まれる。
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