2023 Fiscal Year Annual Research Report
食品成分の摂取による体温調節機構の活性化を介した自律性機能の改善
Project/Area Number |
20K02374
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Research Institution | Doshisha Women's College of Liberal Arts |
Principal Investigator |
森 紀之 同志社女子大学, 生活科学部, 准教授 (90585184)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | thermoregulation / TRPM8 / menthol / Autonomic nerves |
Outline of Annual Research Achievements |
ヒトは環境温度に対して体温を一定に保つ体温調節機構を有している。体温調節機構にはエネルギー代謝などの自律性機能が関与しており、体温調節機構の活性化は様々な自律性機能に影響を及ぼすことが考えられる。そこで温度受容体を活性化する食品成分の摂取が温度情報として体温調節機構に軽度な温度刺激(ストレス)を与えることで、様々な自律性調節機構をも活性化し、体温調節機能の改善だけでなく体質の改善をともなう種々のストレスへの抵抗力を獲得できる可能性が考えられる。これまでにTRPM8のアゴニストであるメントールの長期摂取はエネルギー代謝を亢進し、体脂肪の蓄積を抑制することが報告されている。温度受容体への継続的な刺激は中枢神経系のSAM系やHPA系を活性化することが考えられ、温度受容体からの刺激が適度なストレスとして身体へさまざまな影響を与える可能性が考えられる。本研究では温度受容体への刺激が脳の認知機能に影響を与える可能性に着目し、メントールを長期摂取した際の記憶機能を評価する行動に与える影響について明らかにすることを目的とした。5週齢のC57BL/6J系雄性マウスを普通食を与えた群(N群)、0.125%メントール添加食を与えた群(M0125群)、0.250%メントール添加食を与えた群(M0250群)の3群に分け、4週間飼育した。新規物体認識試験の結果、摂取開始2週目のM0125群、M0250群において同一物体に対する新規物体の認識割合の増加量がN群に比べ大きくなる傾向がみられた。4週間摂取した後に海馬における遺伝子発現量の解析を行ったところ、M0125群においてCAMK2α発現量の増加がみられ、M0250群においてCREB発現量の増加がみられた。以上の結果から、メントールの長期摂取は空間記憶能力を向上させる可能性があることが示された。
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