2022 Fiscal Year Research-status Report
食品成分の生理活性を疾患モデルショウジョウバエで解明する
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20K02376
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Research Institution | Yamanashi Gakuin Junior College |
Principal Investigator |
萱嶋 泰成 山梨学院短期大学, その他部局等, 教授(移行) (90365453)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
今井 伸二郎 東京工科大学, 応用生物学部, 教授 (50629152)
小林 公子 静岡県立大学, 食品栄養科学部, 教授 (90215319)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 食科学 / ショウジョウバエ / サーチュイン活性化 |
Outline of Annual Research Achievements |
培養細胞におけるサーチュイン遺伝子活性化を指標として、カカオ抽出物より活性化因子のスクリーニングを行い、脂溶性画分から強い活性を示す画分が得られ た。この画分を更に精製した結果、候補因子は脂肪酸トリプタミドの一種であることを明らかにした。その脂肪酸トリプタミドが多細胞生物においてもサー チュインの活性化による老化抑制作用、寿命延長作用をもたらすのかについて、ショウジョウバエで検証したところ、老化抑制作用と寿命延長作用を有している ことを明らかにしていた。2012年度は、これまでの解析結果より得られた脂肪酸トリプタミドにはショウジョウバエ成虫における老化抑制・寿命延長をもたらす作用を有しているという可能性を明らかにした内容を論文としてまとめ、nature姉妹誌のscientific reportに投稿し、掲載された。 体内の細胞に蓄積された脂質を燃焼してエネルギーにする際、細胞質基質にある脂肪酸は β酸化が行われるミトコンドリア内部に運搬される必要がある。その運搬役を担っているのが「カルニチン」で、体内では骨格筋や心筋などに多く存在し、食品では動物性食品に多く含まれている。脂質の燃焼に関わるということから、様々な生理活性作用があることが予想されるが、カルニチンの摂取による効果についてははっきりとはわかっていない。そこで、カルニチンをショウジョウバエ成虫に摂取させて個体寿命を調べたところ、脂肪燃焼の促進に起因すると思われる個体寿命の短縮がみられた。一方で、クライミングアッセイという方法でカルニチン摂取によるショウジョウバエ成虫の加齢に伴った運動脳低下への影響を調べたところ、カルニチン摂取と運動との間に関連性があることが示唆された。カルニチン摂取による脂肪の蓄積状況への影響を調べたところ、予想に反してカルニチン摂取によって脂肪の蓄積量が増加した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
対象とする食品成分に機能性があるのか、充分な予備実験や文献検索を行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
カルニチン摂取による脂肪の蓄積状況への影響をショウジョウバエの幼虫期で調べたところ、予想に反してカルニチン摂取によって脂肪の蓄積量が増加した。ショウジョウバエの幼虫期は、成虫における飛翔のような多くのエネルギーを要する運動などを行わずに、自身の周辺にある餌をひたすら摂食している。運動しないことでカルニチン摂取は脂肪燃焼とは逆に、脂肪蓄積を促進させる効果をもたらす可能性があることが考えられた。成虫も含めて3齢中期の幼虫期とは違う時期ではどうか調べることが今後の課題である。
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Causes of Carryover |
試薬や消耗品を前年度に購入していたもので済ませることが出来た。既に使い切ってしまっているため、次年度は研究遂行のための試薬や消耗品の購入費に充てる。
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