2021 Fiscal Year Research-status Report
生活設計の観点からみる高齢者の引退・退職経験とその後の生活の変化
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20K02381
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
李 秀眞 弘前大学, 教育学部, 准教授 (30588926)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 中年無配偶者 / 社会資本 / 老年期夫婦 / 就労経験 / 家事労働 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度の成果は、学術論文の学会誌への掲載、日本における大量調査の実施である。 第1に、学会誌へ2本の学術論文を掲載することができた。「どのような高齢者が経済的に困らず、生活に満足しているのか、また、それを支える要因は何か」を探ることの目的に研究分析を進めた。その際、生活上の出来事である引退・退職経験を軸に、生活設計の観点にたって考察した。①『中年無配偶者の生活満足度に対する人的資本と社会資本の効果分析-単身世帯と2人以上世帯の比較を中心に』(家族資源経営と政策、25(4)、pp. 87-99) では、単身世帯の中年無配偶男性は、教育水準、経済活動状態、インターネット使用等の人的資本水準が2人以上世帯より低い水準であることが確認できた。②『老年期夫婦の労働市場進入と脱退以降の妻と夫の家事労働変化』(家族資源経営と政策、26(1)、pp. 43-58)では、平日には、妻の家事労働時間が長くなると、夫の家事労働時間も増加することが確認できた。一方、妻の平日の家事労働と夫の週末の家事労働、または、夫の平日の家事労働と妻の週末の家事労働は交換関係が成立することが確認できた。 第2に、「高齢者の就労経験と生活に関する調査」を行った。60歳以上の高齢者を対象に、生涯の主な仕事から退職経験があることを条件に、夫婦のみ世帯、単身世帯が判別できる形での調査を行った。高齢者の就労経験が正確に把握するデータが得られたため、日本と韓国の二国間比較の観点から、引退・退職経験が高齢者の生活に及ぼす影響等を分析している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
その理由として、入手できる公開データを用いて、高齢者の就業経験とその後の生活について分析をすることができた。さらに、日本において、60歳以上中高年層を対象に生涯の主な仕事から退職経験がることを条件に大量調査を行った。退職を経験した中高齢者の生活が把握できる公開データが多くない現状で、1300人程度のデータが得られたため、さらなる分析が可能である。
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Strategy for Future Research Activity |
第1に、大量調査データ分析を通して、日本と韓国における高齢化の現状および高齢者対策の類似点および相違点に着目し、日本と韓国の二国間比較の観点から、引退・退職経験が高齢者の生活に及ぼす影響等を分析を進める予定である。退職を経験している高齢者の、経済生活、生活意識、生活時間、生活行動、夫婦関係、生活満足度に関して調査しているので、退職後の高齢者の生活を具体的に把握することができると考える。また、夫婦のみ世帯と単身世帯について考察を行う予定である。 第2に、退職を経験している高齢者を対象としたインタビュー調査を計画しているが、COVID-19の状況をみながら進めていく予定である。
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Causes of Carryover |
2022年3月発行の学術雑誌への論文掲載料として支出を計画していたが、学会誌への掲載決定が遅れたため、差額が生じた。令和4年度の前半に論文掲載料として充てる予定である。
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Research Products
(3 results)