2020 Fiscal Year Research-status Report
自宅における認知症ケアと予防に役立つ料理療法プログラムの開発と効果評価
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20K02387
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Research Institution | Kyoto University of Education |
Principal Investigator |
湯川 夏子 京都教育大学, 教育学部, 教授 (40259510)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
櫛 勝彦 京都工芸繊維大学, デザイン・建築学系, 教授 (30324726)
明神 千穂 近畿大学, 農学部, 講師 (90529752)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 認知症ケア / 認知症予防 / 料理療法 / 在宅 / 調理 |
Outline of Annual Research Achievements |
「料理をすること」は,人をいきいきとさせ,情緒の安定や,自信ややる気をよびさまし,認知症ケアや予防に役立つ。このような料理活動を支援する方策を「料理療法」として構築することを最終目的としている。現在日本の高齢者・認知症ケアは,施設から地域・自宅へ重点が移行しつつある。そこで,この「料理療法」の手法を,自宅で個人に対して取り組みやすい形に適合させ,自宅における認知症ケアと予防に貢献することが目的である。本研究期間中には,自宅・個人に対する料理療法について①先進事例の調査とプログラム開発,②料理療法の効果について明らかにすることが目的である。しかし,今年度はコロナ禍の影響のため,高齢者関連機関への新規の調査を行うことは困難であると判断し,大きく研究方針を変更した。 今年度は,料理療法の支援方法について,自宅における方法と比較を行うため,これまで施設において実施した料理療法の動画を解析した。支援者への料理療法の研修前後に行った料理活動を動画撮影し、KJ法を用いて解析をした。解析ではマップに分類された元ラベルの数を介入前後で比較し、料理活動における教育プログラムの効果の評価を行った。研修後の料理活動では、「作業の停滞」が大きく減少したことから、研修前よりも支援をスムーズに進めることができたのではないかと考える。特に、指示不足等による作業の停滞が減少したことから、支援者が気持ちと時間に余裕を持って料理活動を行えていたことが示唆された。また介入後では、参加者が手持ち無沙汰となっている場面や、指示が理解できず戸惑う場面がほとんどみられなかったため、どのような場面でどのような言葉かけをすれば良いのか、支援者が正しく理解できていたのではないかと考える。以上により、支援者が事前に研修を受けることで、参加者及び支援者にとってもよりよい良い料理活動となることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
自宅・個人に対する料理療法については,先進事例の調査として,聞き取り調査,観察調査を進める予定であった。しかし,今年度はコロナ禍の影響のため,各機関で料理活動は自粛している場合も多く,また高齢者関連機関自体への新規の調査は困難であると判断し,大きく研究方針を変更せざるを得なかった。 代わりに,これまでの施設における研修の効果についての解析をおこなったが,これについては,予定どおり解析が実施でき,自宅における料理活動支援を調査するうえでの基礎的なデータが成果として得られた。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度も引き続きコロナ禍の影響により,高齢者関連機関に対する聞き取りなどの調査が困難な状況が続くと想定される。そこで2021年度は,「料理すること」の効果について基礎的な事項を明らかにしていく予定である。 具体的には,対象を高齢者から一般にも広げ,「料理すること」の効果についての文献調査を行うと共に,聞き取り調査,実験による検証を実施予定である。高齢者に対する自宅における料理活動支援の先進事例の調査は,引き続き,文献調査などをすすめ,今後の聞き取りや観察調査に備える予定である。
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Causes of Carryover |
今年度はコロナ禍の影響のため,料理活動は自粛している場合も多く,また高齢者関連機関自体への聞き取り調査および観察調査等は困難であると判断し,実施できなかった。代わりに,これまでの施設における研修の効果についての解析をおこなったが,これについては,すでに保有の設備で実施ができたため,経費をほとんど使用していない。 2021年度においてオンラインを使用した聞き取り調査や,文献調査を実施する予定であり,オンライン会議ソフトやデータベースの使用料,文献複写費に使用する予定である。また「料理すること」の効果を計測するために分析機器を購入する予定である。
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Research Products
(1 results)