2023 Fiscal Year Research-status Report
自宅における認知症ケアと予防に役立つ料理療法プログラムの開発と効果評価
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20K02387
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Research Institution | Kyoto University of Education |
Principal Investigator |
湯川 夏子 京都教育大学, 教育学部, 教授 (40259510)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
櫛 勝彦 京都工芸繊維大学, デザイン・建築学系, 教授 (30324726)
明神 千穂 近畿大学, 農学部, 講師 (90529752)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 調理 / 料理療法 / 認知症ケア / 認知症予防 / コロナ禍 |
Outline of Annual Research Achievements |
「料理をすること」は,人をいきいきとさせ,情緒の安定や,自信ややる気をよびさまし,認知症ケアや予防に役立つ。このような料理活動を支援する方策を「料理療法」として構築することを最終目的としている。現在日本の高齢者・認知症ケアは,施設から地域・自宅へ重点が移行しつつある。そこで,本研究期間中には,自宅・個人に対する料理療法について①先進事例の調査と支援プログラム開発,②料理療法の効果について明らかにすることが目的であった。しかし,コロナ禍の影響のため,高齢者関連機関への新規の調査を行うことは困難であると判断し,この研究方針を大きく変更した。 コロナ禍における調理活動の状況を調査した。近畿2府4県のデイサービス1000件に対し,感染拡大前後での料理活動の実施状況についてアンケート調査をおこなった(回収率17.3%)。新型コロナ感染拡大前は119 の施設で料理活動は実施されていたが,コロナ禍では74件の施設が中止していた。コロナ禍で料理活動中止をした理由は「感染対策や感染に対する不安が大きい」が最も多く,コロナに関係なく料理活動を行っていない施設は,「人手不足」「時間がかかる」「調理施設がない」という理由が挙げられていた。訪問調査は1件のみ実施することができた。 自宅・個人を対象とした料理療法支援法の開発に関しては,訪問栄養指導時における料理療法の活用事例を調査予定であり,来年度実施にむけて準備を行った。介入調査対象機関である認定栄養ケア・ステーションと実施計画を検討した。また実施県の栄養士会会長および副会長へ実施計画の説明を行い,承認を得た。介入調査の効果評価のために,評価指標および自宅・個人用評価表を検討した。 また2021年度に実施した「料理をすること」の効果に関する研究の1件,「お菓子作りの価値的意義」について成果発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
自宅・個人に対する料理療法について 先進事例の調査として,聞き取り調査,観察調査を進める予定であった。しかし,コロナ禍の影響のため,料理活動は自粛している場合も多く,また高齢者関連機関自体への新規の調査は困難であると判断し,大きく研究方針を変更せざるを得なかった。 代わりに,「料理すること」の効果に関する研究を2021年度に2件おこなった。しかし校務の多忙さによりその後成果発表が十分におこなわれていない。また,コロナ禍の料理活動の状況については,デイサービスについてアンケート調査が完了した。訪問調査は未実施である。グループホームへの調査も含めて継続したい。 さらに,自宅・個人に対する料理療法については,訪問栄養指導時における料理療法の活用を調査予定であり,ようやく実質的な打ち合わせ段階にある。研究期間を延長して来年度実施したい。
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Strategy for Future Research Activity |
研究期間を1年延長して研究を行う。コロナ禍における料理活動の実態についての高齢者関連機関への質問紙および聞き取り調査については,デイサービスにおける調査結果を踏まえて,グループホームへのアンケート調査を行うと共に,訪問調査も件数を追加して実施を予定している。この調査により,支援方法の困難さや工夫などを明らかにし,支援方法の確立に寄与したい。 自宅・個人に対する料理療法については,訪問栄養指導時における料理療法の活用について介入調査を実施し,研修のあり方や料理療法の効果の検証を行いたい。 また,「料理すること」の効果についてなど,研究成果発表を引き続き行う。文献調査についても継続していきたい。さらにこの研究期間の総まとめとして,講演会などでとりまとめをしたい。
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Causes of Carryover |
初年度において,高齢者施設への聞き取り調査および観察調査等を予定していたが,これまでの施設における研究成果の解析に計画を変更した。これらはすでに保有の設備で実施できたため,経費をほとんど使用せず,次年度繰越が引き続き生じている。また介入調査も準備段階であり,費用を繰越して使用する。さらにこの4年間,資料収集および成果発表として参加予定であった学会の全国大会の多くがオンラインの実施に変更になった。また,国際学会への参加も,コロナ禍の影響と校務の多忙化のため日程があわず実現しなかった。研究代表者および研究分担者共に,旅費として計上していたこれらの経費が次年度使用へ繰り越しとなった。 次年度においては,介入調査を実施するため,材料費や謝金等,その諸費用に経費を充てる。またコロナ禍における料理活動の調査についてはグループホームへの郵送調査を行い,その費用を使用する。訪問調査も追加して実施予定である。「料理すること」の効果に関する調査も継続し,文献検索費用等に使用する予定である。 以上の研究に経費を使用するほか,最終年度として,これまでの研究成果の発表に注力し,投稿論文の作成費用や,研修の開催,ホームページの更新等,報告媒体の作成に費用に充てる予定である。
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Research Products
(2 results)