2020 Fiscal Year Research-status Report
Study on utilization method of vacant buildings in residential area by precautionary approach
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20K02395
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Research Institution | Kyoritsu Women's University |
Principal Investigator |
高橋 大輔 共立女子大学, 家政学部, 教授 (50321394)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 空きストック / 居場所 / 地域コミュニティ / ソーシャルインクルージョン / 住宅地 / 徒歩圏 / 空き家 / 予防 |
Outline of Annual Research Achievements |
この研究課題が始まる少し前から拡がりつつあったコロナウィルスの影響は非常に大きく、研究活動が大きく制限されるとともに当初のスケジュールよりもかなり遅れてスタートした状況である。 特に開催予定だったシンポジウムや住民とのワークショップは緊急事態宣言の発令などによって、中止もしくは開催方式の変更を余儀なくされ、当初計画していた予算の使途を変更せざるを得ない状況であった。 シンポジウムの場合はすべてオンライン、もしくは収録後ネット配信といった形で行い、空き家活用ワークショップは会場で子どもたちに材料を渡し自分たちでつくってもらうという形で行った。 大田区の研究対象としていた「シェアスペース多摩川」はコロナ感染対策をした上で、密にならない状況をつくり、地域住民に細々と活用してもらっていたが、やはり状況が厳しいことから、大田区・株式会社大田まちづくり公社が運営を続けるのは難しいと判断し、2021年3月で閉鎖することとなった。ただし、ヒアリング調査による利用者の意見を反映した内装改修は、利用者とのワークショップで行うはずだったが、前出の理由から研究室スタッフのみで行った。さらに2018年度から2021年度の利活用実態をまとめた報告書を作成し、株式会社大田まちづくり公社に提出した。 調布市における研究活動であるが、やはりこちらもコロナの影響で当初活用する計画だった物件の契約が難しくなり、2021年度半ばに新しい物件の賃借契約をする計画である。研究対象としている調布市富士見町地区における空き家の発生状況と様々な物理的要因の相関関係に関する分析は2020年度ですでに終えており、駅からの距離・道路幅員・買い物場所が、この地域における空き家の発生率に大きく影響を与えていることが明らかとなった。シンポジウムなどはオンライン開催、調布市が2020年度の活動の成果をデザイナーを入れた冊子としてまとめている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
年度当初はコロナウィルスの影響や緊急事態宣言にともなう様々な制限によって、研究の遂行が難しいと考えていたが、行政や地域住民たちをはじめとする関係者たちとオンラインミーティングでかなりの議論を行いながら、この研究の実施方法の検討を行った。よって4月から9月までの進捗状況は「やや遅れている」といった状況であった。 この時期に実施方法や実施設備の検討を十分に行ったことが功を奏し、年度後半は実施計画よりも速いスピードで展開することが出来、十分といえる進捗状況にたどりついているのではないかと評価している。 年度当初の交付申請書の研究実施計画にも記載したように、研究対象物件に常駐しながら作業する環境を整えたが、対面でのシンポジウムやワークショップ開催が困難であったことから、予測できない今後の状況を考え、研究をスムーズに遂行するためにオンライン配信環境を整えることも2020年度内で行った。 このコロナウィルスの状況が続いたとしても、大きく状況が悪い方へ動かない限り、地域住民を交えた空き家活用のシンポジウムはオンラインで行い、ワークショップのための木材加工などはデジタルツールEMARF(エマーフ)を用いることで次年度以降の研究活動は遂行可能である。よって年度後半の進捗状況は「当初の計画以上に進捗している」と評価したい。ただ、大田区の研究対象物件が予期せぬ状況によって閉鎖となってしまったことから、こちらが原因ではないにせよマイナス要因であり、2020年度は「おおむね順調に進展している」と評価したい。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度以降はオンラインシンポジウム、年度後半から始まる新たな物件における居場所づくりDIYワークショップの定期開催、調布市における居場所の運営による利活用コンテンツの実施と分析データの取得を主たる研究内容として実施する。 ただし世の中の状況がどのように動くのか判断しかねる部分もあるため、DIYワークショップなどの運営方法は行政や地域住民らと十分に議論した上で安全な実施方法を考えたい。 また前年度は難しかった先行事例の調査であるが、調査対象地を変更することも視野に入れてながら実施する予定である。 分析データの蓄積も増えてくることから、学会への投稿も行っていきたい。
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Causes of Carryover |
シンポジウムなどのオンライン開催という初めての試みであったため、行政職員や地域住民のサポートによって開催した。そのためサポートスタッフの謝金が生じなかった。2021年度はサポートスタッフが関わってくるため、その費目として充当したい。
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