2021 Fiscal Year Research-status Report
牛乳プロテオーム解析用プロテオタイピックペプチドライブラリ作成と各種分析への応用
Project/Area Number |
20K02400
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Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
一法師 克成 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 食品研究部門, 上級研究員 (30355606)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ターゲット・プロテオミクス / プロテオティピックペプチド / 牛乳 / タンパク質 / LC/MS/MS |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、ターゲット・プロテオミクスの経験のない高速液体クロマトグラフィー/タンデム質量分析計(LC/MS/MS)利用者も利用でき、かつ、牛乳および乳製品の加工特性、機能性やアレルゲン性など(以下、食品特性とする)に関与する、牛乳プロテオームを対象とする各種研究等に幅広く利用されるための要件を満たした、牛乳プロテオーム解析用プロテオティピックペプチドライブラリを作成し、さらに、本ライブラリの有用性を示すことが目的である。 本年度は、プロテオティピックペプチドライブラリの作成を進めた。牛乳および乳製品の食品特性に関与する、主要な牛乳タンパク質(30種)に対応したプロテオティピックペプチド候補の合成ペプチド(38種)について、昨年度から引き続き、それぞれのペプチドに最適なLC/MS/MSのコーン電圧やコリジョン電圧を明らかにした後、プロダクトイオンスペクトルを測定し、それぞれのペプチドに適したSRM(Selected Reaction Monitoring)トランジションを決定した。 決定したSRMトランジションと牛乳タンパク質トリプシン消化物を用いて、LCカラムや水/アセトニトリルのグラジエント条件などを検討した結果、17種の牛乳タンパク質を一斉分析できる方法を開発した。30種の牛乳タンパク質の一斉分析は困難であった。次に、開発した分析法をヤギ乳に適用したところ、牛乳タンパク質と共通のプロテオティピックペプチドで分析できる13種のヤギ乳タンパク質の一斉分析が可能であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の研究実施計画通りに進捗している。
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Strategy for Future Research Activity |
開発した牛乳タンパク質およびヤギ乳タンパク質の一斉分析法を用いて、市販の牛乳やヤギ乳およびその粉乳を分析し、主要タンパク質の定量データを得る。 ラクトトランスフェリン分析法を開発するため、ライブラリ内のラクトトランスフェリン用のプロテオティピックペプチド中のアルギニンを安定同位体(13C、15N)で標識したペプチドを合成する。この安定同位体標識ペプチドおよび牛乳タンパク質トリプシン消化物を用いて、ラクトトランスフェリン定量法の開発に着手する。
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Causes of Carryover |
コロナ感染防止のため、出張が無くなり、旅費の支出がなかったことや本研究に利用しているLC/MS/MSの保守をする必要がなかったことなどが、次年度使用額が生じた理由である。 次年度使用額は、LC/MS/MSの保守経費などに支出する予定である。
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