2023 Fiscal Year Research-status Report
牛乳プロテオーム解析用プロテオタイピックペプチドライブラリ作成と各種分析への応用
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20K02400
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Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
一法師 克成 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 食品研究部門, 上級研究員 (30355606)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | ターゲット・プロテオミクス / プロテオティピックペプチド / 牛乳 / ヤギ乳 / alpha-S1-casein / beta-lactoglobulin / LC/MS/MS |
Outline of Annual Research Achievements |
牛乳の主要なアレルゲンであるcasein類は、加熱による影響を受けにくい。この中で、牛乳タンパク質の約30%を占め、最も多く含まれているalpha-S1-caseinは、多数のIgEエピトープをもちアレルゲン性が高い。また、牛乳タンパク質の約10%を占めるbeta-lactoglobulinも代表的なアレルゲンである。alpha-S1-caseinとbeta-lactoglobulinは、ともに人乳には存在しないタンパク質である。 alpha-S1-caseinを産生できないヤギが、高頻度にSwedish Landraceに存在することが報告されている。そこで、国内で流通しているヤギ乳のalpha-S1-casein量を明らかにすることを主な目的として、牛乳およびヤギ乳のalpha-S1-caseinとbeta-lactoglobulin 由来の共通のプロテオティピックペプチドをSelected Reaction Monitoring(SRM)で検出する、高速液体クロマトグラフィー/タンデム質量分析計(LC/MS/MS)を用いた、牛乳とヤギ乳のalpha-S1-caseinとbeta-lactoglobulinの比較定量法を構築した。 本定量法を用いて、市販の牛乳とヤギ乳(粉乳を含む)のalpha-S1-caseinとbeta-lactoglobulinを比較定量したところ、ヤギ乳(粉乳を含む)のalpha-S1-casein量は、牛乳のalpha-S1-casein量より少なかったが、alpha-S1-caseinが検出されないヤギ乳サンプルはなかった。一方、beta-lactoglobulinについては、alpha-S1-caseinのような、牛乳とヤギ乳間に大きな違いはなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の研究実施計画通りに進捗している。
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Strategy for Future Research Activity |
lactophorin(別名:glycosylation-dependent cell adhesion molecule 1)は、milk fat globule membrane (MFGM)上に存在するリン酸化糖タンパク質である。牛乳のlactophorinは、抗ロタウィルス活性や抗細菌活性が報告されており、また、牛乳の加工において、安定な乳化特性を示す。これら有用な性質を有するlactophorinについて、牛乳およびヤギ乳の含有量を比較するため、牛乳およびヤギ乳のlactophorinに共通のプロテオティピックペプチドを用いたLC/MS/MSによる定量法を構築する。また、本定量法を用いて、粉乳を含めた市販の牛乳およびヤギ乳のlactophorinを比較定量する。
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Causes of Carryover |
本研究に利用しているLC/MS/MSの保守をする必要がなかったことなどが、次年度使用額が生じた理由である。 次年度使用額は、LC/MS/MSの保守経費などに支出する予定である。
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