2020 Fiscal Year Research-status Report
Preparation of salt-reduced fish sauce under pressurized carbon dioxide
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20K02406
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
野間 誠司 佐賀大学, 農学部, 准教授 (40392071)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 二酸化炭素 / 魚醤 / 減塩 |
Outline of Annual Research Achievements |
二酸化炭素を液体食品に加圧溶解すると(加圧CO2処理)、その間のみ一時的に酸性・嫌気環境が生じる。この環境下では多くの微生物の増殖を抑制できる。これまでに本作用を魚醤の調製に応用し、イワシを加圧CO2 下で自己分解させた。その結果、腐敗防止に通常20%以上を要する塩濃度を10%に低減できた。しかも、褐変が抑制され、独特の臭みがなく、アミノ酸を多く含み、出汁様のかおりに優れるなど、劇的な品質向上を認めた。本研究では、この①品質向上の機構を解明するとともに、②品質向上の普遍性、すなわち他の魚類にも適用可能かを実証し、③魚醤調製期間の短縮および品質保持技術を構築することを目指している。 ①加圧CO2下で生じる酸性条件下で作用するプロテアーゼの特定を試みており、各種粗精製ステップを経た後、イオン交換クロマトグラフィーを行うことで、プロテアーゼの単離に近づいている。 ②4種類の魚およびそれらを混合したものについて大気圧下および加圧CO2下で魚醤を作製した。その結果、いずれにおいても加圧CO2下では大気圧下よりも品質の向上が認められた。また、風味の変化は類似していることが示唆された。 ③加圧CO2下での魚醤作製を高温(45℃)で行った結果、4, 7%への減塩、製造期間の短縮が可能であり、風味の良い減塩魚醤が作製できることが分かった。一方、作製後の品質保持を目指し、加圧CO2下で作製した魚醤に及ぼす加熱処理の影響を調べた。その結果、保存後の一般生菌数が減少し、アミノ酸、味、アミン類含量に顕著な差は認められなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
COVID-19の影響もあり、計画全体が順調に進んでいるわけではないが、一部は論文投稿まで至っている。
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Strategy for Future Research Activity |
①品質向上の機構検討における、プロテアーゼの作用の解析に注力する。② 品質向上の普遍性の有無、③ 速醸化(調製期間短縮)法と、調製後の品質保持法確立についても並行して予定通り研究を進める。
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Causes of Carryover |
COVID-19の影響で実験が停滞したため。2021年度にB-Aの額を併せて消耗品を購入する。
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