2021 Fiscal Year Research-status Report
Visualization technique of quality characteristics of fermented seasoning correspoded to variety of consumer preference
Project/Area Number |
20K02411
|
Research Institution | Rakuno Gakuen University |
Principal Investigator |
舩津 保浩 酪農学園大学, 農食環境学群, 教授 (90382481)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 発酵調味料 / 消費者 / 嗜好 / 品質特性 / 可視化 / 抗酸化 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は発酵調味料である北海道産魚醤油製品(14検体)の無機質(ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、鉄、亜鉛、銅、マンガン、カドミウム)、機能性成分(総ポリフェノール)量及び抗酸化能(H-ORAC)の調査を行った。無機質量(mg/100 mL)を見ると、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、鉄、亜鉛、銅、マンガン、カドミウムはそれぞれ3280~8160、64~468、4~816、9~36、0.3~3.2、0.2未満~4.4、0.07未満~0.15、0.05未満~0.77、0.01未満~0.08であり、原材料や製法により多様であることが分かった。 次に、総ポリフェノール量(mg/100 mL)を測定したところ、255~1442であった。さらに、H-ORAC(μmolTE/mL)レベルを見ると、41.09~144.64の範囲であった。市販大豆濃口醤油の総ポリフェノール量(mg/100 mL)とH-ORAC(μmolTE/mL)レベルはそれぞれ437と56.59であった。北海道産魚醤油製品は大豆濃口醤油を比較すると、総ポリフェノール量はH-ORACレベルは前者の方が後者よりもそれぞれ6検体と7検体で高い傾向がみられた。 総ポリフェノール量に対するH-ORACレベル、昨年度に測定した物理化学的特性(色調と化学成分)、呈味・香気成分及び無機質との相関を調査したところ、総ポリフェノール量とH-ORAC、色番、L*、b*、Brix、無塩可溶性固形分、ヘキサン酸、2-メチルプロパナール及び2-メチルブタナールなどに相関関係が認められた。調査した成分間の多変量解析(主成分分析)を行ったところ、要約プロットでは原材料と製法の違いにより相関する成分が異なることが分かった。抗酸化能の高い試料は、原材料や製法だけでなく、発酵中に生成する成分とも関係が見られた。そのため試料間の物理化学的特性、抗酸化能及び総ポリフェノール量の違いは官能特性にも影響する可能性が考えられる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
今年度は、北海道魚醤油製品の無機質、機能性成分(総ポリフェノール量)及び抗酸化能(H-ORAC)の調査を行った。しかし、全国的な新型コロナウイルスの感染拡大に伴う緊急事態宣言や蔓延防止等特別措置の実施によりオリゴペプチド態アミノ酸などの分析ができなかった。また、新型コロナウイルス感染防止のため官能評価パネルの訓練がかなり遅延し、定量的記述法[Quantitative Descriptive Analysis(QDA)法] の実施ができなかった。さらに、これまで使用していた官能評価ソフトウエアを取り扱っていた企業が廃業したため本研究推進のため新たな官能評価ソフトウエアの導入が必要となった。 次年度は遅延した北海道魚醤油製品の機能性に関与する成分分析や新たな官能評価ソフトウエアを導入し、QDA法による官能評価を実施していく予定である。
|
Strategy for Future Research Activity |
原材料や製法の違いによる製品間の抗酸化能の違いを明らかにするためにオリゴペプチド態アミノ酸やメラノイジンなどの分析を行う。原材料に由来する成分や発酵時に生成する成分と抗酸化能との関係を調査する。 発酵調味料の官能評価ではASTM(The American Society for Testing and Materials)が推奨している定量的記述法(QDA法)を導入し、味覚と嗅覚が正常で優れた表現力とコミュニケーション能力を有し、訓練を受けた分析型パネルを選定する。評価方法は線尺度法を用い、得られたデータの統計解析(Tukeyの多重比較法)を行う。 物理化学的特性、呈味・香気成分、機能性成分及び抗酸化能データとQDA法による官能的特質との関係を統計解析手法により解析する。 地域、年齢、食習慣を代表するような嗜好パネルを一般消費者より選定し、QDA法によって決定した評価項目を基にカテゴリー尺度法で評価したデータから消費者の好き嫌いに関する情報を得る。得られたデータより主成分及びPLSプリファレンスマッピングを作成し、嗜好データの地域間での相違を調査し、製品の品質特性が消費者のニーズとどのように対応しているかを明らかにする。
|
Causes of Carryover |
令和3年度は新型コロナウイルス感染拡大のため当初予定していたQDA法による官能的特質の調査ができなかった。そのため成分特性の調査(オリゴペプチド態アミノ酸やメラノイジン等の分析)やQDA法による官能的特質の調査を令和4年度に行う予定である。また、次年度使用額については、令和4年度の請求額と合わせ、主に物品費(官能評価ソフトウエアとインストール用PC、試薬・消耗品費等)、人件費・謝金(アルバイト料等)、その他(施設使用料)に使用する予定である。
|