2020 Fiscal Year Research-status Report
電界紡糸法とインクジェット法による再生繊維の持続可能型染色加工
Project/Area Number |
20K02417
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Research Institution | Kyoto Notre Dame University |
Principal Investigator |
安川 涼子 京都ノートルダム女子大学, 現代人間学部, 講師 (30646633)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
後藤 景子 奈良工業高等専門学校, 校長, 校長 (30243356)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 染色加工 / インクジェット / 電界紡糸 / 再生繊維 / 機能加工 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、多様な材料を繊維化できる電界紡糸法を用いた再生繊維の作製、環境低負荷型のインクジェット法を用いた染色加工、これらの分析および評価までを一貫して検討する。 初年度は、コロナ禍により表面加工や繊維の分析等のための学外出張が困難であったことから、次年度以降の予定であった既存設備のインクジェットプリンタを用い、環境低負荷型の染色加工として天然物の茶カテキンのセルロース系繊維への染色加工を検討した。天然物によるセルロース系繊維への染色は、化学染料と異なって濃色が得られにくく、色のバリエーションも少ない。天然物の茶カテキンは、酸化剤を用いた染色方法によって茶色に染色できることが知られている。この手法を用いて、茶カテキン水溶液で前処理した布帛に対し、発色剤として過よう素酸ナトリウム水溶液をインクジェットプリンタで吐出させることでの染色方法を試みた。過よう素酸ナトリウム水溶液の吐出回数や吐出後の発色期間を調整することで染色布の濃色化が可能になった。また、染色布の色調を赤系~黄系の茶色に変化させられることもわかった。 さらに、薬剤処理のようなウェットプロセスだけではなく、薬剤を用いないドライプロセスによる布の酸化処理を行なうための準備として、布の大気圧プラズマ処理に関するこれまでの実験データを総括し、論文公表を行なった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナ禍により学内での実験、学外への出張ができなくなったこと、本実験に必須の分光測色計が故障し、新規に分光測色計の購入を急遽行なう必要が生じたことで全体的にやや遅れを生じている。コロナ禍の影響は引き続きあるが、速やかに実験を継続したいと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、研究の進捗はやや遅れが生じていることから、実験装置の整備後にできるところから速やかに研究を進めていきたいと考えている。 今後の予定は、天然物による染色加工の実用的観点での機能性評価として摩擦堅ろう度試験について行なうことを検討している。天然物の茶カテキンの酸化による発色方法については、現在過よう素酸ナトリウムなどの酸化剤を用いたウェットプロセスの薬剤処理を行なっているが、薬剤を使用しない酸化処理方法としてドライプロセスのプラズマ酸化処理を検討する予定である。プラズマ酸化により、茶カテキンが発色するのかについては不明であるため、慎重に検討していきたいと考えている。また、タンパク質系の再生繊維については、紡糸から布帛化条件についても行なう予定であり、最終的に表面分析や評価までの検討を進めていきたいと考えている。これらは出張が可能になり次第、順次進めていく予定である。
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Causes of Carryover |
実験に必須の分光測色計が故障し、新規に分光測色計の購入を急遽行なう必要が生じた。このため、使用計画に変更が生じて物品費が増加し、実験の消耗品、研究打合わせや学会発表のための旅費に必要と思われる費用が不足することが考えられたため、前倒し支払請求したが、コロナ禍により学会発表の旅費等に執行できなかった分の残金等が生じた。これが次年度への繰越し分の主な理由である。次年度の物品費や旅費等に使用する予定である。
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Research Products
(1 results)