2022 Fiscal Year Research-status Report
Establishment of analytical method for non-extractable polyphenols in cereals and its application
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20K02419
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Research Institution | Nakamura Gakuen College |
Principal Investigator |
沖 智之 中村学園大学, 栄養科学部, 教授 (60414851)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 非抽出性ポリフェノール / 穀類 / 黒大豆 |
Outline of Annual Research Achievements |
食品中のポリフェノールは、健康に良い影響を与えるかもしれないファイトケミカルとして注目されており、ポリフェノールの摂取と健康の維持増進との関連性が解明されつつある。一方、食品中のポリフェノールの分析には、食品からポリフェノールを抽出する操作が不可欠であるが、従来法である酸性の含有有機溶媒では抽出されない非抽出性ポリフェノールの存在が明らかとなってきた。そのため、真のポリフェノール摂取量の把握には、非抽出性ポリフェノールの存在を考慮する必要がある。そこで本研究課題では、国内において摂取量が多い穀類中の非抽出性ポリフェノールの分析法を確立し、穀類とその調理加工品の非抽出性ポリフェノールの量を明らかにすることを目的としている。 2022年度は、黒大豆から調理加工品(煮る、煎る、蒸す)を調製し、試料中のポリフェノール量を酸加水分解法で測定した。種皮中の抽出性ポリフェノール量は、生豆>煎り豆>煮豆≧蒸し豆の順であった。生豆と煎り豆の非抽出性ポリフェノール量は、抽出性ポリフェノール量より少なかったが、煮豆と蒸し豆では非抽出性ポリフェノールの方が多かった。黒大豆の市販加工品の種皮における抽出性ポリフェノール量も、生豆とは異なり、煎り豆>蒸し豆>煮豆の順であった。また、黒大豆の市販加工品の抽出残さからアルカリ処理で抽出できた非抽出性ポリフェノールは、酸加水分解法での結果と異なり、3種類の調理加工品で抽出性ポリフェノールよりも多かった。煎り豆において、酸加水分解法とアルカリ処理法とで異なる結果が得られたが、前者がプロアントシアニジンの加水分解物を測定しており、後者がプロアントシアニジンを含むポリフェノール類を測定していることから、分析法の違いに起因していると考えられた。以上のことから、今年度は黒大豆の調理加工における非抽出性ポリフェノールの量的変化を2種類の分析法で明らかにすることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は計画を前倒しにして、4年間に計画していた内容を実施し、調理加工品における非抽出性ポリフェノールの量的変化を明らかにすることができたが、1年目に設定した分析法と非抽出性ポリフェノールを酸加水分解して抽出する分析法との比較により、得られる結果が異なることが判明した。そのため、1年目に設定した分析法を見直す必要性があると考えられた。なお、本研究では国内において摂取量が多い穀類とその調理加工品中の非抽出性ポリフェノールの量を明らかにすることを目的としており、本年度の研究内容はその目的に合致しているが、想定外の問題が生じたことから、やや遅れていると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
4年目は計画調書に記載の当該年の内容に加えて、2~3年目に実施した内容を追加で実施する。具体的には、茶大豆から調理加工品(煮る、煎る、蒸す等)を調製し、従来法で抽出されるプロアントシアニジンと非抽出性プロアントシアニジンを酸加水分解法で定量する。茶大豆とその調理加工における分析値の比較により、調理加工における非抽出性ポリフェノールの量的変化を明らかにする。また、雑豆類を対象として、抽出性ポリフェノールと非抽出性ポリフェノールのデータの蓄積をおこなう。
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Causes of Carryover |
試薬・機器等が予定していた金額より安価で購入できたこと、及び旅費を支出しなかったため。次年度の物品費として、研究の効率化に資する機器等の購入費用に充てる。
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