2020 Fiscal Year Research-status Report
An Empirical Study on the Fluctuation of Popular Control in the New Board of Education System in Japan
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20K02426
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
村上 祐介 東京大学, 大学院教育学研究科(教育学部), 准教授 (00423434)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 教育委員会制度 / 教育長 / 教育委員 / 首長 / 民衆統制 |
Outline of Annual Research Achievements |
2015年度から施行された新教育委員会制度では、教育委員会は首長から独立した行政委員会として維持されたが、一方で教育長が教育委員会の代表者になることや、大綱の策定、総合教育会議の設置などにより、首長や教育長の権限はこれまで以上に強まった。 制度改革が行われた直接の契機は、2011年に起きた滋賀県大津市でのいじめ自殺事件であったが、その背景としては、教育委員会事務局を指揮監督すべき合議体の教育委員会(すなわち5名の教育委員)が本来の役割を果たせず、教育委員会制度の存在意義であるはずの民衆統制機能が十分に働いていないという問題認識があった。 では、2015年の制度改革によって、教育行政の民衆統制機能は誰が担うようになったのであろうか。首長が教育行政における民衆統制機能を代替するようになったのだろうか。教育長、教育委員の民衆統制機能に果たす役割は以前の制度から変容したのであろうか。新しい教育委員会制度において、教育行政の民衆統制は実態としてどのように具現化されている(あるいはされていない)のだろうか。本研究はこうした点に関心を有している。 2020年度はコロナ禍の影響もあり実地での調査研究が難しかったため、理論的な検討を主に行なった。先行研究では民衆統制の機能として、(1) 教育をめぐる住民意思を発掘できているかという「民意吸収」と、(2) その意思を政策として実現し、政策執行に反映させようと努力しているかという「民意実現」の二つの側面があるとされるが、新教育委員会制度における民衆統制でもこの両面とその違いに着目する必要があることが示唆される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
現代的かつ実践的な政策課題に関わる研究テーマであるため、コロナ禍の影響が大きく、研究計画の修正を余儀なくされたことは否めない。
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Strategy for Future Research Activity |
コロナ禍の影響も勘案しつつ、可能な範囲でできる限り研究課題を遂行する。一方でコロナ禍での学校の休校などをめぐって首長、教育長、教育委員の関係に変容が生じている可能性もあるため、それも踏まえて今後の研究課題の実施を検討する。
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Causes of Carryover |
コロナ禍によって研究計画を修正せざるを得ない状況になったため、翌年度に繰り越した。
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Research Products
(3 results)