2020 Fiscal Year Research-status Report
A Study on the Formation and Transformation Process of Dowa-Education Thought in Pos-twar Japan
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20K02433
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Research Institution | Meio University |
Principal Investigator |
板山 勝樹 名桜大学, 国際学部, 教授 (80643535)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 同和教育思想 / 解放教育思想 |
Outline of Annual Research Achievements |
「同和教育思想の形成・変容過程を実証的に明らかにする」という本研究の目的の達成をめざし2020年度は、同和教育思想、解放教育思想形成・変容に一定の影響を与えたと思われる人物、トピックを三点選び、分析・考察を進めた。 第一に、戦後日本において、同和教育を論じた嚆矢である盛田嘉徳氏の同和教育思想(1940~50年代)を、後の反差別教育思想との連続性という視座から分析・考察した。第二に、大阪において取り組まれた第一次解放教育計画の作成過程(1970年代)において創造された「反差別の論理」の形成について、日本教職員組合教育制度検討委員会報告批判という文脈に着目して分析・考察した。第三に、代表的な解放教育論者の一人である川向秀武氏(福岡育大学名誉教授)のライフストーリと彼の教育への「問い」を描く作業を通して、彼が有する同和教育思想を分析・考察した。これまでの研究結果と以上の作業によって、1940~1970年代の同和教育思想の形成過程は一定程度、明らかになった。 第四点目に、今後の研究の見通しを持つ意味で、1940~1990年代における同和教育、解放教育の課題やその実践に影響を与えたであろうトピックを通史的に整理する作業を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
既に収集していた文献及び聞き取りデータを用いて分析・考察を進めてきたものの、年度を通してのコロナ禍の影響で、新たなデータの収集が滞っている。 特に、現地に出向いての文献史資料、聞き取りデータの収集が極めて難しい状況にあるため、オンラインでの聞き取りを試みる等の方法を検討する必要があると考えている。 また、現地に出向くことなく入手できる文献データの収集を地道に進めていきたい。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度は、1940~1960年代の同和教育思想形成の過程をまとめるとともに、その後の同和教育思想、解放教育思想の形成・変容過程に関わる、1970~90年代の史資料を収集するとともに、同時期に同和教育思想、解放教育思想形成、変容に関わったであろう人物・団体等への聞き取り調査(オンラインでの聞き取りも検討する)に取り組む。 第一に、これまで分析・考察してきた1940~1960年代における同和教育思想、解放教育思想の形成過程を整理する。 また、「同和教育、解放教育を人権教育へと再構築する」との考え方が主流化する前提を探る意味で、第二に、1970年代後半から1990年代における同和教育、解放教育の「内部」、「外部」における課題に言及した史資料を収集し、その点に関する聞き取り調査を実施し、データを分析・考察する。第三に、同和教育、解放教育の「転機」である1990年代に、その思想的方向性を水路づけたであろう人物、団体等による発言を収集するとともに、関係者への聞き取り調査を行い、データを分析・考察する。
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Causes of Carryover |
予定していた史資料集のための旅費、聞き取り調査に伴う旅費等が執行できなかったため、多額の次年度使用額が生じている。 当面は、旅費以外の支出を計画的にすすめ、調査のための移動(旅費の執行)が可能になり次第、確実に執行していきたい。
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[Book] 人権論の教科書2021
Author(s)
古橋 エツ子、和田 幸司
Total Pages
312
Publisher
ミネルヴァ書房
ISBN
978-4-623-09173-7