2022 Fiscal Year Research-status Report
A Study on the Formation and Transformation Process of Dowa-Education Thought in Pos-twar Japan
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20K02433
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Research Institution | Meio University |
Principal Investigator |
板山 勝樹 名桜大学, 国際学部, 教授 (80643535)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 同和教育思想 / 解放教育思想 |
Outline of Annual Research Achievements |
1.同和教育に法的裏づけを与えた同和対策審議会答申(1965年)、同和対策事業特別措置法(1969年)等が示した、一般地区と同和地区との「格差是正」によって部落差別の解消するとの戦略が、同和教育実践・運動に与えた影響を分析・考察した。 2.1970年代に同和教育の理論的リーダーであった横田三郎、鈴木祥蔵が展開した「解放の学力」論を分析・考察し、かれらの議論による思想的な進展と内包した課題を明らかにした。 3.1970~80年代に、『解放教育』誌、『現代教育科学』誌等に示された、各年度の同和教育実践・研究・運動を総括する論稿の分析・考察に取り組み、当時の同和教育、解放教育「内部」における課題と、関係者が抱いていた問題意識やかれらが考えていた今後の方向性等を明らかにしながら、思想変容の前提を探った。本作業は、同和教育の形骸化言説および、同和教育思想に対する内省的言説を収集する一環でもある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
徐々に改善してはきているが、未だにコロナ禍の影響を受け、聞き取り調査の実施や現地に出向いての文献史資料収集、研究会・学会への参加が困難な時期もあった。一方で、オンラインの研究会に参加する等に取り組むことはできた。コロナ対応が緩和化される本年度は、聞き取り調査の実施や現地に出向いての文献史資料収集、研究会・学会への参加などに積極的に取り組みたい。
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Strategy for Future Research Activity |
1.西日本の自治体などで、同和対策審議会が求めた同和教育基本方針の策定が進められたのであるが、その成果と課題を分析・考察する。 2.同和教育、解放教育における代表的な学力論者である木下繁弥の「解放の学力」論の展開を、「文化的差異を有する科学的・芸術的認識の形成」という視角から分析・考察し、その到達点と課題を明らかにする。 3.1970年代以降、全国同和教育研究協議会に集う実践者に一定の影響力を持った「四認識」論を、「文化的差異を有する科学的・芸術的認識の形成」という視角から分析・考察し、その到達点と課題を明らかにする。
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Causes of Carryover |
コロナ禍によって、聞き取り調査や現地での文献史資料収集を目的とした出張がかなわない時期があり、旅費や謝金の支出ができなかった。また、聞き取りデータの文字おこしを中心として人件費を想定していたため、それも支出できなかった。本年度は、コロナ対策が緩和される方向なので、予定通りの支出をめざしたい。
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