2022 Fiscal Year Research-status Report
Politics of Sovereign Education in the Context o High School/University Articulation Reforms
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20K02452
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小玉 重夫 東京大学, 大学院教育学研究科(教育学部), 教授 (40296760)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 智輝 山口大学, 教育学部, 講師 (60780046)
村松 灯 帝京大学, 理工学部, 講師 (70803279)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 公共性 / エージェンシー / シティズンシップ |
Outline of Annual Research Achievements |
主権者教育の理論枠組みの刷新を、サブジェクトとエージェンシーという2つの概念に即して明らかにすることを本年度の課題とした。成果としては、2022年9月17日に開催された教育思想史学会第32回大会においてコロキウム「18歳成人時代の主権者教育を考える―サブジェクトとエージェンシーのあいだで―」を行い、そこで、以下のような成果を得ることができた。 2022年4月、高等学校において必修科目「公共」が実施となり、時を同じくして民法上の成人年齢が18歳に引き下げられたことをうけて、アクティブ・ラーニングへの転換を柱とした高等教育改革の方針が示された2012年(「新たな未来を築くための大学教育の質的転換に向けて」(答申))から10年へて、いま、「主体性」の育成に注力してきた一連の取り組みの成果が問われる時期にさしかかっているという情勢を前提認識としてふまえる。こうした転換期のなかで、高校生・大学生とともに知と力の構造転換をめぐる議論を重ね、主権者教育の画期となる2022年度をむかえるにあたって、これまでの議論を土台としつつ、高校生・大学生とともに18歳成人の時代においてどのような主権者教育が求められているのかについて考えた。各報告をつうじて各登壇者から政治的主体としての経験や思いがさまざまに語られ、そうした語りを手がかりに、主体、服従(subject)の構造を切断する変革主体(agency)としての主体性を育むことが教育においていかに果たされるのか、その可能性を探ることができた。 以上の成果は同コロキウムでの発表を経て、『近代教育フォーラム』第31号に概要の報告が掲載されたが、現在、その後の研究をふまえた詳細な報告書を準備中であり、2023年度に刊行を予定している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
教育思想史学会大会を経て、高校生と共同での発表を成果として可視化する見通しを付けることができたことは成果であった。また、2022年度は参議院選挙が行われ、研究代表者の知見が報道等で紹介された(NHK、毎日新聞)。他方で、新型コロナウィルスの感染拡大が完全には収束していないなかで、研究の交流やシンポジウムの形態がオンライン中心となり、当初予定したいた報告書の完成を含めて、研究成果の刊行は次年度に予定を延長し、研究期間を一年間、変更することとなった。、
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Strategy for Future Research Activity |
2022年9月17日に開催された教育思想史学会第32回大会コロキウム「18歳成人時代の主権者教育を考える―サブジェクトとエージェンシーのあいだで―」の内容を中心として、報告書の編集を行い、2023年度中に刊行し、成果を世に問うことを予定している。
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Causes of Carryover |
2022年度の教育思想史学会コロキウムでの成果を中心とした報告書を作成し、刊行する事業を、2023年度に予定しており、そのための予備調査や出張等を含めて費用が必要となり、次年度使用額が発生した。
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