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2022 Fiscal Year Research-status Report

A clinical pedagogical study on the theory of "Inochi education" and its practice

Research Project

Project/Area Number 20K02454
Research InstitutionJoetsu University of Education

Principal Investigator

稲垣 応顕  上越教育大学, 大学院学校教育研究科, 教授 (90306407)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) 瀬平劉 アントン  九州大学, 基幹教育院, 准教授 (50754438)
大久保 明子  新潟県立看護大学, 看護学部, 教授 (70279850)
坂井 祐円  仁愛大学, 人間学部, 准教授 (70351244)
Project Period (FY) 2020-04-01 – 2024-03-31
Keywordsいのち教育 / 生命尊重 / 道徳教育 / 宗教的情操教育 / スピリチュアルケア / グリーフケア / ナラティブアプローチ
Outline of Annual Research Achievements

本研究では「いのち教育研究会」の名称のもと定例会の活動をオンラインで続けている。2022年度は定例会を4回行った(第10回~第13回の定例会にあたる)。
第10回では、心身めざめ内観センターを主宰し、仏教心理学会の会長をしている千石真理氏を講師に招聘し、吉本伊信が開発した内観療法について、その形成過程や実践のあり方について基調発表をいただいた。内観療法は、仏教のいのち観に基づく心理療法であり、いのちの捉え方について宗教的情操との関連が指摘された。
第11回では、公立中学の元教員で校長経験もあり、退職後は金融教育に携わっている諏訪部寛栄氏から、学校現場において生徒にいのちについて教え、ともに考えるとはどういうことなのかについて、基調発表をいただいた。第12回では、いのちのケアネットワークの代表で社会福祉士でもある森川和珠氏と、信州大学准教授で教職養成課程に関わり道徳教育の研究者でもある河野桃子氏のお二人を講師に招聘し、小さな子どもたちへのグリーフケアの実際や理念、そして道徳教育の文脈におけるいのち教育の可能性について、基調発表をいただいた。第11回、第12回の定例会を通して、学校現場では道徳教育がいのちを教える場になると考えられているが、そもそも人間の生活そのものがいのちを考えること、生と死の境界を考える契機になることが示された。
第13回では、埼玉医科大学総合医療センター緩和医療科の教授であり医師である儀賀理暁氏を講師に招聘し、学校現場におけるがん教育の実践と理念について基調発表をいただいた。がんについて考えることは、健康の問題を考えるにとどまらず、今を生きているということの意味について、大人や子どもの境界を取り払って深めていくことであることが示唆された。
学校現場でのいのち教育の必要性について教員対象に聞き取り調査を実施したが、予備調査の段階で多くの問題点が露呈した。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

本研究では、いのち教育の実践に至るための理論構築についての考察を中心に進めている。そのために、臨床現場での実践知が、いのち教育という課題にどのように開かれているのかを明らかにしようとすることを当面の目標としてきた。3年間の研究を通して、本研究の成果を書籍化してまとめようと考えていたが、研究分担者のいのち教育に対するスタンスについて議論を重ねてきたが、うまく整理できないままでいるため、本研究の目標を遂行しこれをまとめることが難しい状況にある。
しかし、教育現場、医療福祉現場の双方から、とりわけスピリチュアルケアの問題や、宗教的情操の問題が取り上げられ、生命尊重の超越的な根拠について、いのちは生のみならず死をも包括する概念であることなどが、定例会の活動を通して指摘され、確立するなどで、いのち教育の理論に関わるおおよその輪郭が見えてきているのも、この3年間の研究成果ではあった。
そこで、研究自体はやや遅れてはいるものの、実質的な成果として、いのち教育の理論構築の提言を行うことは十分に可能な状況にはなっている。また、いのち教育について発展的に考えるための方向性も見出すことができると考えている。

Strategy for Future Research Activity

具体的に臨床実践として、いのち教育が行われているという実際について考えることが重要であり、そのために現場での教材やプログラム開発などの資料を収集していくということがまず挙げられる。これらの実践のいくつかの事例の中から、実践知を取り出してこれを明らかにし構造化していくこと、そして、そのためには、いのちという概念の思想的な背景について明らかにすることが必要になってくる。
今後の研究の推進方策としては、これまで定例会等で基調発表をいただいた講師と連携し、いのち教育のあり方や理念についての議論と対話を重ねていくこと、そして、こうした議論や対話の成果を、学術的な体系として整理していくことが必要になってくる。この体系化を行う上で、次の5つの観点が挙げられる。
①実践に関わる臨床現場の各領域における「いのち」の捉え方およびその異同 ②「いのち」とはどこから来てどこに向かうのか ③自他の「いのち」の尊重と、尊厳死・自死の問題 ④死者へのケアや生と死の境界としてのいのちの捉え方と教育の場での扱い方 ⑤グリーフケア・スピリチュアルケアとの関連性、そしてスピリチュアル教育・マインドフル教育との関連性について
これら5つの観点を通して、「いのち教育」の現状と問題点、およびその可能性について構造化していくこと、さらには、いのち教育の対象者とは誰なのか、という問いについての考察を深めていくことを、推進方策の目標としたい。

Causes of Carryover

本研究の成果を整理しまとめるに当たって、遅れが生じていることが挙げられる。これまでの定例会や公開セミナーなどで招聘した講師と連携を取り、いのち教育の理論構築についての議論と対話を重ねることにより、いのち教育の現状と問題点、課題等をまとめるとともに、いのち教育の理念についての構造化を進め、これらを研究書として出版する。

  • Research Products

    (13 results)

All 2023 2022

All Journal Article (7 results) (of which Peer Reviewed: 4 results,  Open Access: 4 results) Presentation (5 results) (of which Invited: 1 results) Book (1 results)

  • [Journal Article] 誕生の記憶をめぐる物語とケア―われわれはどこから来たのか?2023

    • Author(s)
      坂井祐円
    • Journal Title

      『仁愛大学研究紀要人間学部篇』

      Volume: 第21号 Pages: 35頁~46頁

    • Peer Reviewed / Open Access
  • [Journal Article] 死生学の始まりと広がり―人間性心理学と死生学の接点2023

    • Author(s)
      坂井祐円
    • Journal Title

      『人間性心理学研究』

      Volume: 40巻第2号 Pages: 119頁~126頁

  • [Journal Article] 学校生活における子どもの健康状態に関する保護者の気がかりと健康管理支援のニーズ2023

    • Author(s)
      大久保明子,伊藤ひかる,永吉雅人,境原三津夫
    • Journal Title

      新潟県立看護大学紀要

      Volume: 12 Pages: 17‐22

    • Peer Reviewed / Open Access
  • [Journal Article] 児童・生徒の健康状態と学校生活における健康支援管理支援ニーズ2023

    • Author(s)
      永吉雅人,大久保明子,伊藤ひかる,境原三津夫
    • Journal Title

      上越教育大学教職大学院研究紀要

      Volume: 10 Pages: 175‐183

    • Peer Reviewed / Open Access
  • [Journal Article] 恩田彰先生の業績と思索をめぐって2022

    • Author(s)
      坂井祐円
    • Journal Title

      『人間性心理学研究』

      Volume: 40巻第1号 Pages: 11頁~14頁

  • [Journal Article] 「信頼される学校づくり」のために2022

    • Author(s)
      稲垣応顕
    • Journal Title

      白鴎大学教職支援センター年報

      Volume: 創刊号 Pages: 13頁~18頁

  • [Journal Article] 小児がん患児のきょうだい支援の内容と課題に関する国内文献の検討2022

    • Author(s)
      塚原美穂,大久保明子
    • Journal Title

      日本小児看護学会誌

      Volume: 31 Pages: 242‐250

    • Peer Reviewed / Open Access
  • [Presentation] 「死者からのケア」の事例とその考察2023

    • Author(s)
      坂井祐円(代表)、筧智子、飯田千尋
    • Organizer
      日本グリーフ&ビリーブメント学会(第5回学術大会)
  • [Presentation] 入院中の子どもの観察技術習得に向けたシミュレーション教育導入における教育方法の検討2023

    • Author(s)
      山田恵子,小林宏至,伊藤ひかる,伊藤美由紀,大久保明子
    • Organizer
      第15回日本医療教授システム学会
  • [Presentation] カウンセリングはケアなのか?教育なのか?2022

    • Author(s)
      坂井祐円
    • Organizer
      ホリスティック教育/ケア学会(第5回研究大会)
    • Invited
  • [Presentation] 小児がん患児のきょうだいへの情報提供における看護師の経験プロセス2022

    • Author(s)
      塚原美穂,大久保明子
    • Organizer
      日本小児看護学会第32回学術集会
  • [Presentation] 化学物質過敏症の児童・生徒に対する支援の実態および香害に関する児童・生徒とその保護者の認識2022

    • Author(s)
      永吉雅人,留目宏美,大久保明子,伊藤ひかる,境原三津夫,大庭重治
    • Organizer
      2022年度室内環境学会学術大会
  • [Book] 『仏教は心の悩みにどう答えるのか』2022

    • Author(s)
      坂井祐円(編著)、千石真理、玉置妙憂、谷山洋三、井上ウィマラ、石川勇一、池田豊應
    • Total Pages
      224
    • Publisher
      晃洋書房
    • ISBN
      978-4771036383

URL: 

Published: 2023-12-25  

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