2021 Fiscal Year Research-status Report
Social History of Unofficial Movement of Education in Postwar Japan
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20K02456
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
前田 晶子 鹿児島大学, 法文教育学域教育学系, 教授 (10347081)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
仲嶺 政光 富山大学, 学術研究部教育研究推進系, 准教授 (00303032)
呉 永鎬 鳥取大学, 地域学部, 准教授 (00781163)
山田 哲也 一橋大学, 大学院社会学研究科, 教授 (10375214)
高瀬 雅弘 弘前大学, 教育学部, 教授 (20447113)
福島 裕敏 弘前大学, 教育学部, 教授 (40400121)
本田 伊克 宮城教育大学, 大学院教育学研究科高度教職実践専攻, 教授 (50610565)
神代 健彦 京都教育大学, 教育学部, 准教授 (50727675)
木村 元 一橋大学, 大学院社会学研究科, 特任教授 (60225050)
後藤 篤 宮城大学, 看護学群, 准教授 (60815786)
大西 公恵 和光大学, 現代人間学部, 准教授 (70708601)
北林 雅洋 香川大学, 教育学部, 教授 (80380137)
松田 洋介 大東文化大学, 文学部, 教授 (80433233)
江口 怜 和歌山信愛大学, 教育学部, 助教 (60784064)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 民間教育運動 / 戦後教育史 / 教育社会動態 / 民間教育運動における教育保障論 / 教育的再文脈化領域 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、主として民間研運動史グループによる研究を先行し、戦後の中核的な民間研運動の個別史を中心に研究を進めた。 (1)科学教育研究協議会については、戦時下の「生活の科学化」論議がどのように整理され戦後の理科教育の構想につながったのか、とりわけ「科学的精神」に着目することで戦前・戦後のねじれが見えてくると考えている。特に、科学教育研究会の中心人物である菅井準一と玉田泰太郎に着目する。(2)全国生活指導研究協議会については、その運動を支えた理論形成においてどのような参照言説の変化があったのかに着目し、さらにその運動を引き受けた教師の実践の成立しやすさ/しにくさの背景を検討することで、運動史が照らし出す教育課題の変化について明らかにする。(3)到達度評価研究会については、先行研究の蓄積がない対象であるが、学力保障と住民自治を正面に据えた民間研としての固有性を明らかにすることを目指している。戦前に発足した(4)教育科学研究会は、戦後に再建される過程においてその組織論と運動論をめぐる格闘の過程があった。そのことを「綱領」や「活動方針」を検討して明らかにするとともに、地域組織の展開にも着目する。(5)数学教育協議会は、他の教科教育の研究運動にも影響力を持つ中心的な位置づけを占めてきたが、その背景にあった子どもの発達論への信頼が1970年代以降に揺らぎをみせる中で、科学のもつ生活性をどのように捉え返したのかに焦点を当てる。(6)日本生活教育連盟については、その前身であるコア・カリキュラム連盟の発足時に遡りつつ、日生連の実験学校としての役割を引き受けてきた和光小学校の実践に注目する。この他、(7)産業教育研究連盟や(8)全国夜間中学校研究会についても研究を進めているところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度は定期的にオンラインでの研究会を行い、各研究対象の課題整理と共通の問題設定についての論議を重ねることができた。しかし、予定していた共同研究としての学会発表は次年度に延期せざるを得なかった。ただし、研究分担者が個別に行う学会発表・研究成果を形にすることができ、最終年度への足ががりとなった。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の研究を通して、いくつかの論点が明確になっている。1970年代を日本の教育の画期として民間研運動を見るとき、各運動団体において、(1)「生活教育」を各団体がどう引き受けたか、(2)教科指導における「わかる」から「楽しさ」への転回、(3)日教組との関係・距離、(4)子ども観(発達主体としての子ども/変革主体としての子ども)、(5)公教育としての科学技術との向き合い方などである。最終年度では、これらの論点を深めることを通して、各団体史を全体として描くための枠組み(時期区分等)を提起する。 また、教育の戦後史における主要な民間教育団体の動向に対して、公教育の枠組みそのものを問い返す位置にあった民間の教育運動に着目することで、民間教育団体の歴史を相対化する視点を抽出する。具体的には、民間教育運動におけるペダゴジーの理論的検討を行う地域民間研・教師教育研究グループでは、第一に、民間教育運動の戦後史をその周辺から押さえること(ここでは個別の地域に着目することや、戦後教育のメインストリームの外部にあった運動などを取り上げる)、第二に民間教育運動の1970年代の転回を教師教育の文脈においてその歴史的役割を検討する予定である。 最終年度は、2つのグループの打合せの機会を持ちながら、学会発表と研究のまとめに向けて計画的に研究を進めていく予定である。
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Causes of Carryover |
昨年度に引き続き、新型コロナウイルス感染症の蔓延のため、対面での打ち合わせ、研究調査活動が大きく制限されたため、想定していた旅費等の支出がなかったことが原因である。本研究は、研究分担者が各地に離れているため、その影響は大きかったと考えている。しかし、最終年度には、全体での研究会等が難しい場合でも、グループ毎に対面での打ち合わせや学会発表を計画して調整する予定である。
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Research Products
(10 results)
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[Book] 科学史事典2021
Author(s)
日本科学史学会編(北林雅洋)
Total Pages
758
Publisher
丸善出版
ISBN
978-4-621-30606-2