2021 Fiscal Year Research-status Report
教員養成における教育実習・教職体験的学習の位置づけ―日韓比較教育史の視点から―
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20K02461
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Research Institution | Seitoku University |
Principal Investigator |
山崎 奈々絵 聖徳大学, 教職研究科, 准教授 (90598103)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森 貞美 聖徳大学, 児童学部, 教授 (10337850)
岡田 了祐 お茶の水女子大学, 教学IR・教育開発・学修支援センター, 講師 (80757287)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 教育実習 / 戦後改革 / 初等教員養成 / 義務教育教員養成 / 日韓比較教育史 / 社会科教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、第二次世界大戦後の日本の教員養成における教育実習・教職体験的学習(学校インターンシップ、学校参加体験、学校ボランティアなど)の位置づけを、日韓の比較教育史の視点から明らかにすることである。より具体的には、戦後の教育実習・教職体験的学習が、戦前師範学校の教育実習の何をどのように乗り越え(ようとし)てきたのか、新たにどのような課題に直面してきたのかを、日韓比較教育史の視点から明らかにすることといえる。 こうした目的のもと、2021年度は、日本教育史の立場から戦後初期の義務教育教員養成における教育実習改革の理念や実態、比較教育の立場から韓国の初等教員養成における教育実習の現代的な特徴、社会科教育の立場から社会科教師にとっての教育実習を通した学びの意義や課題を中心に、学会発表や論文等の形で研究成果を公表した。 あわせて、戦後初期の教育実習に関する資料や戦後日本の教育実習の評価研究の展開についての整理、日本の学校現場で教育実習指導に当たってきた公立小学校教諭、教育実習生を受け入れてきた幼稚園経営者へのインタビューを行い、これらの成果公表も行った。 以上を通して、戦後初期の日本の教育実習は「観察・参加・実習」というキーワードで理論と実践の往還を実現する教員養成教育の要として位置づけられようとした一方で、そうした理念に反して実態では教育実習校の数や考え方といった面でさまざまな問題に直面したこと、韓国の初等教員養成では、教育実習や教職体験的学習の比重が大きくなってきたこと、日本の教育実習の評価研究においては、黎明期の1970年代には指導技術、1980年代前半には実習生の自己評価、1980年代後半には自己評価と実習校の評価の比較やフィードバックに着目する研究が主流になり始めたことなどを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナウィルスの影響により、2020年度及び2021年度に予定していた韓国での調査がいまだ行えていないため、やや遅れていると考えられる。 なお、日本国内での調査についても対面で行いたいものや地方文書館での調査を中心に一部変更せざるを得なかったが、郵送手続きによる資料調査やオンラインでのインタビュー調査などは順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
いままで各メンバーが個別に行ってきた日本の研究(教育史研究及び社会科教育研究)と韓国の研究とを、次年度(最終年度)で総括していく予定である。 また、メンバー全員で取り組んできた、教育実習関係者に対するインタビューについて、日本で教育実習指導に当たる小学校教諭と教育実習生を受け入れる幼稚園経営者に対して行ってきた成果をふまえ、今後、私立教諭や行政関係者、韓国の関係者に対して新たに行い、日本教育史、教育経営学、社会科教育及び日韓比較教育史の視点から総括を行う。
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Causes of Carryover |
コロナにより、国内で予定していた調査の一部と、韓国で予定していた調査のすべてが実施できなかったため、次年度使用額が生じた。次年度にこれらの調査もしくは代替調査を行い、予算を執行する。
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Research Products
(15 results)