2021 Fiscal Year Research-status Report
Yoshibei Nomura's New Educational Thought and an Empirical Study on Life Education-Based School Curriculum Construction
Project/Area Number |
20K02467
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Research Institution | Yokohama College of Art and Design |
Principal Investigator |
冨澤 美千子 横浜美術大学, 美術学部, 教授 (90810680)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 野村芳兵衛 / 岐阜市立長良小学校 / 大正新教育 / 生活教育 / 教育思想史研究 / 日本型教育 / 学校カリキュラム構想 / 初等教育研究 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、第一に、大正自由教育を代表する池袋児童の村小学校(1924-1936)で訓導・主事を務め、戦後新教育期に岐阜市立長良小学校の校長であった野村芳兵衛(1896-1986)の新教育思想が歴史的にどのような学校カリキュラムの構想をもたらすものであったのかについて明らかにすることである。本研究では野村の教育実践の現代における意義を実証的研究データに基づき明らかにしていくことを目的としている。しかし、2020年度に引き続き2021年度もコロナ感染症の影響で、調査分析は全くできなかった。そのため、引き続きこれまで研究してきた野村芳兵衛の教育思想についてまとめることに集中した。2021年9月に『野村芳兵衛の教育思想―往相・還相としての「生命信順」と「仲間作り」―』(春風社)が出版された。また、「総合的な学習の時間」に着目した長良小学校における研究成果も含めた単著『子どもの創造力を育む総合的な学習の時間』(大学教育出版)も、2021年8月に刊行された。また、野村のカリキュラム論についてさらに考察を進めた。「第2章 総合的な学習の時間の矛盾と拡張可能性―教育目標達成のジレンマからの解放―」『拡張的学習と教育イノベーション』ミネルバ書房(2022.7月刊行予定)や、「小学校教育課程における教科外教育の再考―教科『自由研究』から『特別活動』及び『総合的な学習の時間』への変遷―」横浜美術大学『横浜美術大学 教育・研究紀要』第12号(2022.3月)、「日本の小学校における教科外教育の役割についての再考察-カリキュラム編成の歴史的・思想的変遷を参考にして-」『横浜美術大学 教職年報』第5号(2022.4月)に言及している。 日本型教育に関する国際的な比較研究の専門家であるピーター・ケイヴ(Dr. Peter Cave)英国マンチェスター大学上級講師との研究交流は、メールに留まった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2021年度も、これまで研究してきた野村芳兵衛の教育思想を整理することにおいては、充実した文献研究をすることができ、成果を出すことに繋がった。しかし実証的研究においては、岐阜市立長良小学校や吹田市立山手小学校などにおいて、どのように調査していくのか、学校現場との実践研究計画や、その準備のためのフィールドワークが全くできなかった。また、海外の研究者と、どのように研究交流をしていくのか、コロナ禍における行き来等状況予測をすることが厳しく進まなかった。日本型教育に関する国際的な比較研究の専門家であるピーター・ケイヴ(Dr. Peter Cave)英国マンチェスター大学上級講師の招聘による国際共同研究を実施する予定であったが、メールで交流するのみとなってしまった。
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Strategy for Future Research Activity |
本課題研究の第二の目的である、長良小学校における生活教育を基盤にした学校カリキュラム構成を事例にした実証的研究を通して、野村を思想的・実践的な支柱とする、日本における生活教育運動の歴史的系譜の現代的継承・発展がどのように実践レベルで具現化されてきたのかを、具体的なデータの収集と、分析に基づき明確化して提示するために、まずは学校と研究推進の打合せをしたいと考える。2022年5月8日に訪問が決まった。計画の目途が立ち次第、フィールドワークを行いたいと考えている。また、2021年度も行うことができなかった、日本型教育に関する国際的な比較研究の専門家であるピーター・ケイヴ(Dr. Peter Cave)英国マンチェスター大学上級講師と国際共同研究について、2022年9月に招聘する予定である。また、コロナ対策が進んでいるアメリカのカリフォルニア大学バークレー校(University of California, Berkeley)にあるUC Linksのチャールズ・アンダーウッド(Dr. Charles Underwood)の研究室を訪ね、共同研究を行いたい。状況をみて、まずメールのやり取りを行い、訪問したいと考える。最終的には、研究成果として、思想史的研究とデザイン的研究と実証的研究を統合した学校カリキュラム構成のモデル化を行うとともに、仲間づくりの生活を基盤にした日本型の人間性教育に関する新たな展望と方策を提起したいと考える。また研究成果は、2022年度は、日本教育学会(広島大学)と日本教育方法学会(山口大学)で発表するとともに、和文および英文論文の査読付国内・国際学術雑誌への投稿も行いたいと考える。
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Causes of Carryover |
実証的研究において、岐阜市立長良小学校や吹田市立山手小学校と、学校現場での実践研究計画相談や、その準備のためのフィールドワークが全くできなかった。また、海外の研究者と、どのように研究交流をしていくのか、コロナ禍における行き来等状況予測をすることが厳しく進まなかった。日本型教育に関する国際的な比較研究の専門家であるピーター・ケイヴ(Dr. Peter Cave)英国マンチェスター大学上級講師の招聘による国際共同研究を実施する予定であったが、メールで交流するのみとなってしまった。2022年度は、5月に長良小学校を訪問し、少しでも新校舎における実践のフィールドワークを行うことができたらと考えている。また、8月にカリフォルニアを訪問し研究交流することと、9月末にピーター・ケイヴ(Dr. Peter Cave)英国マンチェスター大学上級講師の招聘による国際共同研究を実施する予定である。
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