2023 Fiscal Year Research-status Report
アメリカの小学校における「教科担任制」導入下の教員免許制度と教員養成・採用・研修
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20K02468
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
成松 美枝 佐賀大学, 教育学部, 准教授 (40440812)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 小学校での教科担任制 / アメリカの小学校 / 教員免許状 / 教員研修 / 教員採用 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、アメリカの小学校(1~5学年)では教科担任制を導入する為に、どのような教員免許制度の下で教員の養成・採用・研修を実施しているのかを明らかにすることにある。今年度は(1)ウィスコンシン州ミルウォーキー市の公立小学校で教科担任制を採用するミルウォーキー・カレッジプレップ(Milwaukee College Prep K-8以下 MCPと略す)を訪問し、小学校での教科担任制の実施を観察し、教職員へのインタビューを実施した。また、(2)マディソン・メトロポリタン学区(Madison Metropolitan District)の小学校において理科と図書館学とコンピューター科学の科目等で実施される「リーチ(Reach)」と呼ばれる専科教員の実施について学区の指導主事にインタビューを実施した。さらに、(3)ロケットシップチャータースクール(Rocket-ship Charter School)での教科担任制についても情報を得た。(1) MPCの教科担任制は2010年に開始されたが、担当教科を2教科に絞って教材研究の時間を減らし、指導内容と質の向上を促すことが導入目的である。各学年2学級を2教員で受け持ち、国語・社会を1教員が数学・理科を1教員が担当する。児童が各教員が所属する教室に行って授業を受ける体制を取っている。音楽、芸術、体育、保健は専科教員が全学年を指導している。全教員、週に20コマの授業を担当する。1学級に1支援員が配属され、各教科教員の教室に児童を移動させる。研修は週に1回、教務主任(Academic Dean)が中心となって実施し、各教科別、学年別、全体の研修が交互に実施される。市内に有る4校のMCPの教職員が月に1回集合して実施する研修もある。教員免許は州の小学校全科(Elementary General Education)を取得する教員が採用される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナ禍のため、2020~2022年度は渡米調査ができなかった。また、以前教科担任制をやっていた、ノースキャロライナ州の公立小学校区に調査訪問を計画していたが、現在学区全体の小学校での教科担任制の実施を停止していたため、訪問を取りやめた。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は教科担任制の実践事例として(1)ウィスコンシン州の公立小学校・ミルウォーキー・カレッジプレップ(MCP)を訪問することができたが、今年度は比較のために、教科担任制実施の情報を得ている同州の(3)ロケットシップチャータースクールを訪問できればと思っている。その上で、ウィスコンシン州内での公立学校の実践としての教科担任制の実施の効果と問題点について検討したい。 さらに、ウィスコンシン州内の教科担任制の実施も含めて、教員の人材育成の問題について養成、採用、研修、免許制度の視点から検討したい。
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Causes of Carryover |
2020年度から2022年度までコロナ禍で、アメリカでの現地調査ができず、旅費が余ったため。 2024年度まで研究を延長して残額を使用する。
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