2022 Fiscal Year Annual Research Report
Methodology of Reflection for Educators Guided by the Concept of Energy in the Philosophy of Improvisational Theater
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20K02470
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Research Institution | Mukogawa Women's University |
Principal Investigator |
井谷 信彦 武庫川女子大学, 教育学部, 准教授 (10508427)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | エネルギー / 教育思想 / 演劇教育 / 精神分析 / スポーリン / フロイト / シュタイナー / バタイユ |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度の研究実績は次の2つに大別することができる。①アメリカの演劇教育家スポーリンの実践/理論の起源をたずねる探求の一環として、ロシア/ソビエトの演出家スタニスラフスキーの演劇理論との関係を明らかにしたこと。②教育思想や日常の教育言説にみられるエネルギー概念の意味と射程に関する探求の一環として、19世紀以降の自然科学や人文・社会科学に見られるこの言葉の語義や用例を明らかにしたこと。①はスポーリンの演劇教育思想とスタニスラフスキーの演劇理論との類似と相違を詳細に検証したものであり、この検証のなかで役者同士や役者‐観客のエネルギーの交流という両者に共通の理念が明らかにされた。この成果は査読付の英語論文として『Educational Studies in Japan』vol.17(印刷中)に掲載が決定している。②は19世紀の自然科学におけるエネルギー理論の発展をふまえて、フロイトの精神分析理論、シュタイナーの教育思想、バタイユの経済理論などにみられるエネルギー概念の意味と射程を検証したものであり、これにより自然科学と人文・社会科学のあいだのエネルギー概念の結節点が詳らかにされた。この成果は教育思想史学会第32回大会(2022年9月)にて報告されたほか、『近代教育フォーラム』第32号(2023年9月刊行予定)にて公開される予定である。教育哲学、演劇教育思想、精神分析学、経済理論などにみられるエネルギーという言葉の語義と用例を詳細に検証することによって、現在日常の教育言説のなかでもちいられているエネルギー概念の意味と射程を問い改めることで、この概念を指針とする省察の方法をデザインするための礎石を築いた点に、これらの実績の最も重要な意義がある。なお3年間続いたコロナ禍の影響により、当初予定されていたワークショップ実践にもとづく省察手法の開発は、残念ながら実施を断念せざるをえなかった。
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Research Products
(3 results)