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2022 Fiscal Year Research-status Report

Quest for History of Enviromental Education in Belarus; from Catastorophe to Regional Regeneration

Research Project

Project/Area Number 20K02481
Research InstitutionSaitama University

Principal Investigator

安藤 聡彦  埼玉大学, 教育学部, 教授 (40202791)

Project Period (FY) 2020-04-01 – 2024-03-31
Keywords公害教育 / 環境教育 / 環境教育史 / チェルノブイリ / 原発事故 / 公害資料館 / 記憶の継承 / ベラルーシ
Outline of Annual Research Achievements

本研究は、「チェルノブイリ原発事故の最大の被害国」とされるベラルーシ共和国における過去30年あまりの教育と環境との関係性の変容を、とりわけ同国最南部にあり、ウクライナとの国境をはさんでチェルノブイリ原発と至近の距離にあるホイニキ市を中心として、明らかにすることを目的としている。
3年目となる2022年度は、20年度・21年度の世界的なコロナパンデミックに加え、ロシアのウクライナ侵攻に伴うベラルーシへの「渡航中止勧告」(外務省)継続により、現地調査を行うことができなかった。オンライン調査の可能性についても、様々な形で検討したが実施することはできなかった。
ロシア軍のウクライナ侵攻に伴うチェルノブイリ原発の一時的制圧やそれに続くザポリージャ原発の制圧は、原発の有するリスクをさらに顕在化させたのみならず、IAEAを傘とする国際原子力共同体からのロシアの離脱という意味でもきわめて大きな意味を持っている。これは、ベラルーシにおけるチェルノブイリ原発事故学習の位置づけや内容にも大きな影響を及ぼしうるものと推察されるが、その点についての資料収集は十分できておらず、今後の課題となっている。
このウクライナ侵攻はもとより、2020年の大統領選にかかわる社会運動のうねりやコロナ禍の経験など、本科研実施期間にベラルーシは国のあり方そのものが揺り動かされるような大きな経験をしてきている。この点についての資料や文献の収集も進めたが、十分ではない。これも今後の課題である。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

4: Progress in research has been delayed.

Reason

世界的なコロナ・パンデミックとロシアによるウクライナ侵攻のために、3年間で一度もベラルーシへの現地調査を行うことができなかった。コロナ・パンデミックは退潮してきたものの、現地の不安定な政治社会情勢はいましばらく続くことが予想され、訪問調査はまだしばらくは難しいものと判断される。研究期間を延長したうえで、課題を絞り込み、成果を出していくことが求められる。

Strategy for Future Research Activity

ベラルーシにおけるチェルノブイリ原発事故学習の歩みは、日本における公害学習や福島原発事故学習の歩みと大きく異なっている。それは、ベラルーシにおける事故による被害地域が国土のおよそ1/4の面積に及んだという事故範囲の広さや被害の大きさばかりでなく、そのような巨大事故のあとにこの国家がーーソ連邦の崩壊とともにーー誕生したことによって、事故対策とそれにかかわる人材養成が国家プロジェクトとなった、という事情によるものと捉えられる。この事故が「国民アイデンティティ構築の資源」(関啓子)とされる背景もそこにあるだろう。チェルノブイリ原発事故学習はこの「資源」化とそれを揺さぶる様々な文脈(国際原子力共同体にかかわるもの、ローカルなもの、’peoplehood’[Korosteleva et al.]にかかわるもの)とのせめぎ合いのアリーナとして捉えることができる。
そこで、今年は次の2つの作業課題に取り組みたい。
第一に、ベラルーシにおけるチェルノブイリ原発事故対策の変遷をあとづけ、そのときどきにおける対策とそれを背景とする人材養成の枠組を整理することである。
第二に、チェルノブイリ原発事故学習の実践として、ミンスク周辺の移住者コミュニティの学校博物館とホイニキ市の「チェルノブイリの悲劇」展示室に注目し、両者の生成と学習にかかわる資料をあらためて収集する。この2つの博物館においてはこれまでもインタビューを行ってきているが、さらなる聞き取りのためにオンラインインタビューを検討する。また両者が学校とのつながりのもとでどのような学習を組織化してきているのかについても聞き取りを進めたい。
この2つの作業を通して、ベラルーシにおけるチェルノブイリ原発事故学習の成立と変容とを理解する基本的な視座を確立することを今年度の課題としたい。

Causes of Carryover

2020年度以降のコロナパンデミックに伴う渡航規制、ロシアのウクライナ侵攻に伴う渡航中止勧告のために、現地調査を含む研究機会を確保することができなかったので、延長申請を行い、より課題を絞り込み、研究方法を修正して、研究に取り組んでいきたい。

  • Research Products

    (1 results)

All 2023

All Book (1 results)

  • [Book] 公害の経験を未来につなぐ2023

    • Author(s)
      清水 万由子、林 美帆、除本 理史
    • Total Pages
      186
    • Publisher
      ナカニシヤ出版
    • ISBN
      978-4-7795-1723-5

URL: 

Published: 2023-12-25  

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