2020 Fiscal Year Research-status Report
Exploring the theory and practice of Assessment as Learning
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20K02484
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Research Institution | Wakayama University |
Principal Investigator |
二宮 衆一 和歌山大学, 教育学部, 准教授 (20398043)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 学習としての評価 / 学習のための評価 / 自己評価 / メタ認知能力 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、大きくは2つの研究課題を設定している。一つめは「学習としての評価」の理論的意義と課題を考察することである。具体的には、評価の客体であった学習者を評価に参加する主体と位置づけ直し、評価活動を学習活動として利用する「学習としての評価」が持つ理論的意義を考察することである。二つめは、どのような評価活動が「学習としての評価」が目指すメタ認知能力の育成に有効なのかを検討することである。 2020年度は、「学習としての評価」をイギリスにおいて提唱しているロンドン大学のダン博士の研究を中心に、学習者を評価主体と位置づけること、そしてどのようなフィードバックが学習者のメタ認知能力を養うことに役に立つのかについて検討することで、「学習としての評価」が持つ理論的意義を研究した。また、「学習としての評価」の実践的試行として、愛媛大学附属中学校の丸山教諭の協力を得て、生徒が自らの学びについて単元を通してふりかえる活動に取り組んだ。具体的には、「一枚ポートフォリオ」の考え方を利用した「学びのログ」というワークシートを開発し、それをいくつかの国語科の単元で実施し、その改善を行った。 以上の研究の成果の一部については、西岡加名恵・石井英真編著(2020)『教育評価 重要用語辞典』明治図書に所収の「学習のための評価」「学習としての評価」「自己評価」「自己調整」の項目、および田中耕治編著(2021)『よくわかる教育評価 第3版』ミネルヴァ書房所収の「学習のための評価」に反映させた。また伊藤実歩子編著(2020)『変動する大学入試:資格か選抜か ヨーロッパと日本』大修館書店に所収の「イギリスのAレベルと多様な入学資格:受験機会ではなく、進学機会の公平性を」では、イギリスの教育評価の理論がどのように制度に反映されているのかについて考察した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2020年度は、イギリスで「学習としての評価」の理論と実践に関わる資料の収集と検討を行い、「学習としての評価」の理論的可能性と課題を明らかにすると同時に、粉河高校の南教諭の協力のもと美術科の批評学習単元において「学習としての評価」の効果に関する実践的研究を行う予定であった。しかしながら、新型コロナの感染拡大によりイギリスへの渡航ができず、また粉河高校での実践的研究も本格的に進めることができなかった。他方で、新しい研究協力者として愛媛大学附属中学校の丸山教諭の協力を得られることになり、「学習としての評価」の実践的ツールとして「一枚ポートフォリオ」の考え方を利用した「学びのログ」というワークシートを開発することができ、実際にそれを使った授業を行うことができた。 以上のような進捗状況のため、本研究で設定している一つめの課題である「学習としての評価」の理論的意義と課題を考察することについては、イギリスでの現地調査ができなかったため、十分に進めることができなかったが、二つめの課題である「学習としての評価」の実践的試行については、研究計画に沿って進めることはできていないが、「学びのログ」という新しい「学習としての評価」のツールを開発することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度も、新型コロナの感染が終息する目処がたたないため、イギリスでの現地調査が難しいことが予想される。そのため、本研究で設定している一つめの課題である「学習としての評価」の理論的意義と課題の考察については、引き続き、すでに入手している文献や資料を考察することで、深めていく予定である。 二つめの課題である「学習としての評価」の実践的試行については、愛媛大学附属中学校の丸山教諭と開発した「学びのログ」を引き続き、実践で活用し、その検証と改善を行っていく。さらに可能であれば、粉河高校の南教諭の協力のもと美術科の批評学習単元において「学習としての評価」の効果に関する実践的研究を行っていく。
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Causes of Carryover |
2020年度に予定していたイギリスでの調査が、新型コロナウィルスの感染拡大により実施することができなかったため、その費用として計上していた渡航調査費や調査に必要なパソコン等の機器の購入費を2021年度以降に使用することとした。2021年度も新型コロナウィルスの影響により、イギリスでの調査が行えるかどうかは現時点では不明であるが、可能であれば、調査を実施する予定である。
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Research Products
(2 results)