2021 Fiscal Year Research-status Report
Exploring the theory and practice of Assessment as Learning
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20K02484
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Research Institution | Wakayama University |
Principal Investigator |
二宮 衆一 和歌山大学, 教育学部, 准教授 (20398043)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 学習としての評価 / メタ認知 / 主体的に学習に取り組む態度 / 学びのログ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、大きくは2つの研究課題を設定している。一つめは「学習としての評価」の理論的意義と課題を考察すること。二つめは、どのような評価活動が「学習としての評価」が目指すメタ認知能力の育成に有効なのかを検討することである。 2021年度は、「学習としての評価」の理論的検討を深めると同時に、その実践的試行に注力して、研究を進めた。具体的には、以下の2つの実践的試行を行なった。1つめは、愛媛大学附属中学校の丸山教諭の協力を得て、実施した研究である。丸山教諭とは、昨年度、「一枚ポートフォリオ」の考え方を利用した「学びのログ」を開発した。2021年度は、その「学びのログ」の改訂を行い、いくつかの国語科の単元で実施し、その改善を行いながら、「主体的に学習に取り組む態度」の評価方法として活用した。2つめは、粉河高校の南教諭の協力を得て、行なった研究である。丸山教諭と開発した「学びのログ」を高校の美術科でも活用し、単元目標や評価基準を学習者が理解すること、それにもとづき自らの学習をふりかえることの意義を考察した。 以上の研究の成果の一部については、二宮衆一・丸山佑樹(2021)「『学びのログ』を活用した『主体的に学習に取り組む態度』の育成と評価」『和歌山大学教職大学院紀要 : 学校教育実践研究』6号にて公表した。また、「学習としての評価」の理論的研究、特にメタ認知に関する研究の成果の一部を二宮 衆一・中山和幸・久保文人・西原有香莉・平井千恵・中岡正年(2021)「子どもの学びの自己調整を生みだす授業」『和歌山大学教育学部紀要. 教育科学』72巻、二宮衆一「英国のEPQ(Extended Project Qualification)における『探究』の評価について」日本カリキュラム学会第32回琉球大学web大会、2021年6月にて公表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2021年度も、新型コロナの感染状況が改善されなかったため、イギリスへの渡航ができず、「学習としての評価」の理論と実践に関わる資料の収集を行うことができなかった。そのため、予定していた「学習としての評価」理論的意義と課題を考察することについては、十分に進めることができなかった。 他方で、どのような評価活動が「学習としての評価」が目指すメタ認知能力の育成に有効なのかを検討する研究については、昨年度、愛媛大学附属中学校の丸山教諭と開発した「学びのログ」の改訂を行い、それを国語科の単元で活用することを通じて、メタ認知の発揮プロセスとその獲得プロセスを可視化することができた。また、「学びのログ」を「主体的に学習に取り組む態度」の評価方法として活用することも可能であることを確認できた。 さらに2021年度は、当初、計画していた粉河高校の南教諭の協力のもと美術科において「学習としての評価」の効果に関する実践的研究にも着手することができた。具体的には、丸山教諭と開発した「学びのログ」を高校の美術科でも活用し、単元目標や評価基準を学習者が理解すること、それにもとづき自らの学習をふりかえることの意義を考察することで「学習としての評価」を実践するツールとして「学びのログ」が利用できることを確認した。 以上のような進捗状況のため、本研究で設定している一つめの課題である「学習としての評価」の理論的意義と課題を考察することについては、イギリスでの現地調査ができない状況であるため、十分に進めることができていないが、二つめの課題である「学習としての評価」の実践的試行については、「学びのログ」を中学校と高校で活用する方向で、研究を進めることができている。
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Strategy for Future Research Activity |
新型コロナの感染状況が改善されるのであれば、2022年度は、一つめの研究課題である「学習としての評価」の理論的意義と課題に関する研究を進めるため、イギリスでの現地調査を実施したいと考えている。 二つめの課題である「学習としての評価」の実践的試行については、愛媛大学附属中学校の丸山教諭と粉河高校の南教諭の協力のもと、「学びのログ」の活用と改訂を中学校と高校での実践で試みたい。さらに2022年度は、「学びのログ」の小学校での活用を実施する予定である。亀川小学校の井戸教諭の協力のもと、小学校でも「学びのログ」を活用することで、「学びのログ」が「学習としての評価」のツールとして小学校から高校まで利用できるのかを検討すると同時に、「学習としての評価」の理論的支柱であるメタ認知能力の育成のプロセスを理論的に考察する予定である。
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Causes of Carryover |
2020年度に引き続き、2021年度も予定していたイギリスでの調査が、新型コロナウィルスの感染拡大により実施することができなかったため、その費用として計上していた渡航調査費を2022年度以降に使用することとした。2022年度も新型コロナウィルスの影響により、イギリスでの調査が行えるかどうかは現時点では不明であるが、可能であれば、調査を実施する予定である。
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Research Products
(3 results)