2020 Fiscal Year Research-status Report
海外に繋がる子ども達と日本人児童生徒の共学をめざした言語活動の開発
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20K02497
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Research Institution | Asahi University |
Principal Investigator |
松井 かおり 朝日大学, 保健医療学部, 教授 (70421237)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 言語教育 / 多文化・多言語 / アート / 共同体 / 社会文化的アプローチ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、社会文化的なアプローチに基づく言語発達・学習論の立場から、ドラマ活動などアートを媒介とした新たな言語環境のモデルを構築することである。 中学校においては、日本語取り出しクラスのなかで、2020年10月から2021年3月までの半年間、進学支援体制の組織化を行った。具体的には、中学校教員の協力の下、市民ボランティアグループの支援員と一緒に、個々の生徒と面談を行い進路決定の相談、受験や進学後に必要となるリテラシー力を養う学習計画の立案、個々の生徒のペースに合わせた試験対策などの支援を行った。その過程は、アプリを利用して日々記録され、支援員全員がすべての生徒の状態を把握しながら活動が実施された。 また支援期間中、外国人生徒の進学支援経験を有する県内の他地域で活動する2箇所のNPOの指導者たちを招き、具体的な指導方法をはじめ、保護者や中学校、高等学校の先生方との関係の作り方、海外にルーツを持つ子ども達に向けたキャリア支援のための様々な取り組みやエピソードなどの助言を得た。教室と地域の協力や、各地域が連帯して支援体制をと整備していくことの意義が確認された。 小学校においては、日本語教室担当の教員と教室運営や、児童、保護者への個々の事例に応じた指導や説明方法を密に話し合う機会を持ち、次年度の自己表現活動の展開方法について共通理解を得た。また集中的に焦点児童のDLA調査を実施することで、学力と指導方法の関係について、日本語教室担当教員と考えを共有する機会を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
研究が遅延している理由は(1)研究代表者自身が突発的な目の疾患にかかり、手術を繰り返したためである。現在も加療中であり、研究や分析作業に制約がある(2)参与観察を予定していた小中学校がコロナ禍で立ち入りが難しくなり、現在も授業参観や介入活動を縮小、一部停止している、という現状がある。 研究者自身の疾病については現状を受け入れながら、協力者の手助けも得て進めていく予定である。またコロナ禍でのフィールド調査は、状況予測が難しく計画が立てづらいが、文献研究や、聞き取り調査など実施可能な研究から着手していく。また打ち合わせは可能な限りネットを利用し、データもデジタル化して関係者と共有するなどフィールドとの関わり方も工夫していきたい。
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Strategy for Future Research Activity |
小学校の日本語クラスで、担当教諭と一緒に表現活動を目的とした授業を行う。海外にルーツがある児童の学年や母語、日本語習熟度の違いがあってもみんなが参加できる活動を探りプログラム作りをすすめる。また年度末には、日本人有志児童と協同する活動を試行する予定である。実施した表現活動を基に、国語、英語など教科教育への応用を考える。
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Causes of Carryover |
本年度は、予定していた学会発表等が延期あるいはネットでの開催となり、支出を見込んでいた出張旅費がほとんどかからなかった。また他地域からゲストを招聘して行う予定であったワークショップをコロナ感染予防対策のため中止したことにより、謝金の支出もほぼ必要なくなった。 次年度については、感染予防対策をとりながら、必要なワークショップや研究集会はネットを利用したハイブリッド形式で行う予定である。招聘したゲストへの謝金や必要経費へと充当したいと考えている。
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Research Products
(2 results)