2020 Fiscal Year Research-status Report
An Analysis on the U.S. Model of Teacher Working Hour Management through Collective Bargaining
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20K02507
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
高橋 哲 埼玉大学, 教育学部, 准教授 (10511884)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 労働基本権 / 団体交渉協約 / 教員組合 / テイラー法 / 労働基準法 / 給特法 / 一年単位の変形労働時間制 / 労働時間概念 |
Outline of Annual Research Achievements |
初年度となる本年度は、研究計画に従い、主に以下の三つの課題遂行をおこなった。第一に、アメリカの教員勤務時間管理法制の全体像を検証するため、教員の給与、勤務時間、その他の労働条件を決定する団体交渉協約の分析、ならびに、これらの団体交渉プロセスを定める法制度についての検討をおこなった。具体的には、ニューヨーク市学区を事例として団体交渉協約に定められる教員の勤務時間を分析するとともに、団体交渉のルールを定めるニューヨーク州公務員公正雇用法(Public Employees Fair Employment Act;通称テイラー法)の分析を行った。 第二に、2019年12月に、日本の教員の勤務時間に関する特殊立法であるいわゆる「給特法」が改正されたことから、そこで導入された時間外勤務の上限指針、ならびに、各自治体の条例等によって実施される一年単位の変形労働時間制についての分析を行った。改正給特法は、一年単位の変形労働時間制を公立学校教員に適用する点において批判が集中しているが、むしろ「在校等時間」概念のもと、労働基準法上の労働時間規制を潜脱する点に法的問題が存在することを明らかにした。 さらに第三に、さいたま地裁で行われている公立小学校教員の超勤問題をめぐる訴訟に着目し、この裁判の従来の判例からみた固有性を示すとともに、原告の主張する正規の勤務時間外に行われた業務が、「労働基準法上の労働時間」に該当することを明らかにした。この内容は、鑑定意見書として裁判所に提出され、2021年3月5日に専門家証人尋問が実施されている。 これらの研究成果に関しては、教育学分野の媒体にとどまらず、主に労働政策、労働法関連分野の誌面に投稿し、教員の勤務時間管理をめぐる領域間交流につとめた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、勤務時間管理の運用実態に関する予備調査を米国内(主にニューヨーク市学区)において実施することを予定していたが、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う渡航規制により実施することができなかった。このため、メールによる質問、Zoomを用いたオンラインインタビューによって代替した。また、データベースや紙媒体による資料分析を先行させることで、教員の勤務時間管理をめぐる法制度の分析を集中的に行うこととした。これらの対応により、研究成果としては、当初予定していた以上の刊行物を発行することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度においては、当初予定していた教員の勤務時間管理の運用実態に関する予備調査をニューヨーク市学区において可及的速やかに実施することを予定している。しかしながら、米国内における新型コロナウイルスの感染状況により、次年度の実施も困難な可能性があるため、オンラインツールを活用した代替的調査を継続することで、当初計画された調査を遂行する予定である。
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Causes of Carryover |
本年度実施予定であった米国内での予備調査が、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う渡航規制により実施できなかったため、関連旅費等を次年度に繰り越すこととした。この現地調査については、次年度に実施することを予定している。
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Research Products
(11 results)