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2022 Fiscal Year Research-status Report

An Analysis on the U.S. Model of Teacher Working Hour Management through Collective Bargaining

Research Project

Project/Area Number 20K02507
Research InstitutionSaitama University

Principal Investigator

高橋 哲  埼玉大学, 教育学部, 准教授 (10511884)

Project Period (FY) 2020-04-01 – 2024-03-31
Keywords公正労働基準法 / 団体交渉協約 / 教員組合 / 給特法 / 労働基準法 / 教員超勤訴訟 / 司法による教育政策形成
Outline of Annual Research Achievements

本年度は、主に以下の二つの課題を遂行した。第一に、米国における連邦法上の労働基準法制を調査した。具体的には、1937年に連邦法として制定された公正労働基準法(Fair Labor Standards Act)の分析を行った。そこでは、被用者の最低賃金が定められ(6条)、また、週40時間を超える労働に対して、通常賃金の1.5倍以上の割増賃金を支払うことが義務付けられている(第7条)。ただし、学校教員(teacher)に関しては、「専門的被用者」として、同法の最低賃金規定と割増賃金規定の双方から適用除外される(13条)。この適用除外は、対象者が十分な交渉力をもつゆえ、職種に応じた高い処遇や固有の勤務時間管理を獲得しうる者と想定されている。団体交渉方式にもとづく公立学校教員の勤務時間管理は、専門職であることを理由として、一般的な労働基準立法から適用除外された上で成立していることが明らかとなった。
第二に、2022年8月25日に東京高裁にて言い渡された埼玉教員超勤訴訟に関する分析を行い、地裁判決からみた高裁判決の意義と問題を明らかにした。高裁判決は、控訴棄却とされたため、原告敗訴と一般的に評価されているものの、他方で、地裁判決にて認められた教員の時間外労働の「労働基準法上の労働時間」該当性については、高裁判決でもこれを認定した。また、高裁判決においても、労働基準法32条に定められた労働時間の上限を超えて教員を働かせた場合、国家賠償法上も違法となりうるというロジックが認められた。この法律判断は、教員の時間外労働を「自発的行為」とする文部科学省解釈を正面から否定するものであり、また、現行の上限指針にもとづき、時間外の在校等時間が月45時間以内にとどめられたとしても、違法な働かせ方となりうることを明らかにした。
なお、これらの研究成果については、2022年6月に単著を刊行し、アウトリーチ活動に務めた。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

米国の団体交渉モデルにもとづく教員の勤務時間管理に関する法的枠組みについては、これまでの研究により概ねその構造が明らかとなった。他方で、その運用実態に関しては、新型コロナウイルス感染症にともなうアメリカ国内の公立学校の入構規制により現地調査を十分に行うことができなかった。法文や資料等で判然としない運用実態に関しては、関係者へのメールによる質問、Zoomを用いたオンラインインタビューによって代替したものの、学校内での参与観察等についてのみ、次年度に実施するため、研究期間を延長して対応することとした。

Strategy for Future Research Activity

研究期間を延長した次年度においては、当初予定していた教員の勤務時間管理の運用実態に関する調査をニューヨーク市学区内の公立学校において可及的速やかに実施することを計画している。これまでの研究成果を踏まえたうえで、得られた知見を国内媒体にとどまらぬ他学術領域の媒体を通じて発信していく予定である。

Causes of Carryover

米国の団体交渉モデルにもとづく教員の勤務時間管理に関する法的枠組みについては、これまでの研究により概ねその構造が明らかとなったが、その運用実態に関しては、新型コロナウイルス感染症にともなうアメリカ国内の公立学校の入構規制により現地調査を十分に行うことができなかった。このため、学校内での参与観察等についてのみ、次年度に実施するため、研究期間を延長して対応することとした。

  • Research Products

    (10 results)

All 2023 2022 Other

All Int'l Joint Research (1 results) Journal Article (3 results) Presentation (2 results) (of which Int'l Joint Research: 1 results) Book (2 results) Remarks (2 results)

  • [Int'l Joint Research] Columbia University/George Maison University(米国)

    • Country Name
      U.S.A.
    • Counterpart Institution
      Columbia University/George Maison University
  • [Journal Article] 教員多忙化問題の本質 ―「給特法」廃止論に対する問題提起―2023

    • Author(s)
      髙橋哲
    • Journal Title

      図書

      Volume: 889 Pages: 34-37

  • [Journal Article] 教員組合の日米比較―その法的地位と役割に焦点をあてて―2023

    • Author(s)
      髙橋哲
    • Journal Title

      人間と教育

      Volume: 117 Pages: 46-53

  • [Journal Article] 教育労働法の理論―教育労働の特殊性を追究した青木宗也の労働法学 ―2022

    • Author(s)
      髙橋哲
    • Journal Title

      季刊教育法

      Volume: 213213 Pages: 96-100

  • [Presentation] A Case of the "First Grader Problem" in Three Early Childhood Classrooms in Japan2022

    • Author(s)
      Daniel E. Ferguson & Satoshi Takahashi
    • Organizer
      American Educational Research Association 2022 Annual Meeting
    • Int'l Joint Research
  • [Presentation] 論争なき教育行政学における「命題」と「継承」問題―教育行政研究における「学説」の位置―2022

    • Author(s)
      髙橋哲
    • Organizer
      日本教育行政学会第57回大会
  • [Book] 聖職と労働のあいだ―「教員の働き方改革」への法理論―2022

    • Author(s)
      髙橋 哲
    • Total Pages
      286
    • Publisher
      岩波書店
    • ISBN
      4000615386
  • [Book] 道徳教育の地図を描く―理論・制度・歴史から方法・実践まで―2022

    • Author(s)
      岸本智典ほか
    • Total Pages
      356
    • Publisher
      教育評論社
    • ISBN
      4866240687
  • [Remarks] 大阪大学研究者総覧

    • URL

      http://rd.iai.osaka-u.ac.jp/ja/6412015c69304a01.html

  • [Remarks] Research Map

    • URL

      https://researchmap.jp/education-law

URL: 

Published: 2023-12-25  

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