2023 Fiscal Year Annual Research Report
An Analysis on the U.S. Model of Teacher Working Hour Management through Collective Bargaining
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20K02507
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
高橋 哲 大阪大学, 大学院人間科学研究科, 准教授 (10511884)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 公務員公正雇用法 / 団体交渉 / 教員組合 / 自主研修 / ニューヨーク市 |
Outline of Annual Research Achievements |
課題継続を行った最終年度では、パンデミック期間中に実施できなかった米国内での現地調査を実施した。具体的には、ニューヨーク市学区における団体交渉協約に定められた公立学校教員の勤務時間管理ルールに関する運用実態に関する調査を行った。この結果、前年度までに分析された団体交渉協約に定められた勤務時間をめぐるルールは、教員組合の監視のもと、ほぼ協約通り実施されている実態が明らかとなった。 また、団体交渉協約の運用にあたり、学校ごとの特例を認める「学校を基礎とする選択」(School Based Option)についても、これを実施する学校が相当数存在することが確認できた。すなわち、校長と学校内の組合代表による合意と学校内の教職員の投票により55%以上の賛成があった場合に基本ルールの変更が認められ、各学校の独自ルールが実施される。この独自ルールは、特に協約に定められた教員研修(professional development)の運用にあたり多用されていることが分かった。 さらに、2023年6月に更新されたニューヨーク市の団体交渉協約においては、物価上昇に合わせた給与表の改訂が行われるとともに、教員の職能開発と結びつけられた昇給システムが給与表に採用されていることが明らかとなった。すなわち、教員給与の昇給ルールは、在職年数による普通昇給と、特定の条件を満たすことによって行われる特別昇給に区分される。なかでも、特別昇給は学位取得や大学院での単位取得などと結びつけられており、教員の自主的な研修が報酬獲得と結びつけられるという特徴を見出すことができた。この結果、団体交渉協約に定められた基礎的な労働条件である給与や労働時間が、教員の専門性を規定する要素となり、また、これらのルールを労使の当事者参加によって決定しているというアメリカの団体交渉モデルの特質が明らかとなった。
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