2022 Fiscal Year Research-status Report
「高次の思考力」を育む学習カリキュラムと教育評価の開発
Project/Area Number |
20K02513
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Research Institution | Aichi University of Education |
Principal Investigator |
趙 卿我 愛知教育大学, 教育学部, 准教授 (30583140)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 真正の評価論 / パフォーマンス評価 / 高次の思考能力 / カリキュラム開発 / 長期的ルーブリック / 教科横断的な視点 / 国際理解教育 / シティズンシップ教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、日本のパフォーマンス評価(performance assessment)が小中学校教育の段階において教育制度・実践にどのような影響を与え、子どもの学びや指導改善にいかに寄与してきたのかを明らかにし、新しい発展的教育評価のための実践的な枠組み(学習カリキュラム及び教育評価)を提供することを目的としている。パフォーマンス評価はアメリカの「真正の評価(authentic assessment)」論に基づいているが、本研究ではそうした既存の視座に止まらず、日韓の教育方法学的アプローチや、教育現場の実践に直接関係する教師の専門性に着目している。特に、これらが評価方法(形成的アセスメント等)や授業内容にどう影響するのかを本研究の主命題とし、より実践的な教育評価の枠組みである「長期的ルーブリック」の開発や、それらを活用した国際理解教育等の授業づくりに繋げる取り組みを行い、その成果と課題を明らかにしている。研究方法としては、パフォーマンス評価をナショナルカリキュラムとして導入・実施(1997年)してきた韓国の学習評価に関する資料と現状分析から課題を洗い出し、韓国教育課程評価院(KICE)及び日韓協力校(愛知教育大学附属小中学校、名古屋市立東海小学校、みよし市立三好中学校、甲賀市立水口中学校などや韓国の小中学校ソウル大学校師範大学附属初等学校、京仁教育大学校附属初等学校、Incheon Gulpo Elementary School、Haewon Middle School、Majeon Middle Schoolなど)での授業参観・研究会・学会参加・教員へのインタビュー、日本の小中学校でのアクション・リサーチを経ることで、より効果的・実践的な 「高次の思考能力」の育成につながる学習カリキュラムと教育評価システムの開発へ焦点を当てている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、アメリカ・日本・韓国の教育評価(パフォーマンス評価=遂行評価/ performance assessment)改革に関する文献調査、日韓の小中学校におけるカリ キュラム開発の検討、諸外国の国際理解教育に関する現状把握という3つの柱で研究を進めている。 ⇒以上の研究成果については、①「パフォーマンス課題の諸潮流―日韓の取り組みと課題に焦点を当てて―」『愛知教育大学研究報告』愛知教育大学発行、第71輯、2022年、②The Present Situation and Challenges of Higher Education in Japan ― Focusing on the Common Test for University Admissions ―『日韓国際学術学研究 創刊号』日韓国際学術学会、2023年、③「オンライン授業の現状と教育評価」『世界と日本の事例で考える学校教育×ICT』明治図書、2023年、④「ポートフォリオ評価」『よくわかる授業論』ミネルヴァ書房、2023年、⑤「ESDにおける教育評価」「ESD for 2030」TOKAIプロジェクト成果フォーラム(愛知教育大学・一般社団法人SDGsコミュニティ)2023年1月28日の発表などでまとめている。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)アメリカ・日本・韓国の一次資料による文献調査:アメリカを発信源とする「真正の評価」論に基づく理論と実践については、近年の研究を中心に更なる文献調査を行う。従来の教育評価の研究においては、教育理論を踏まえて評価される「質の内実(学校現場での教育活動)」を捉えることができていなかった。従って、本研究では、教育評価論を踏まえて評価される「質の内実」を更に明らかにしていく。 (2)日韓の小中学校における実地調査・事例分析から、具体的な実践方法の提示へ:子どもの学びや授業改善を行うための実践活動としてパフォーマンス課題とルーブリック作りにおける具体的な評価方法を継続的に調査・整理する。特に、学年を超えて学びの成長を捉えることができる長期的ルーブリックの開発や、それらを活用した授業づくりに取り組み、成果と課題を明らかにすることによって、知識・技能を活用する必然性があり、「高次の思考能力」が生起するようなパフォーマンス課題の文脈を設計するために必要な要素とは何かを明らかにしていく。 (3)国際理解教育に関する現状把握、並びに担当教師のインタビュー調査:これまでの研究を進める中で、日韓の教育評価や各教科・教科外の授業研究に関わる資料は蓄積してきているものの、「高次の思考能力」を育むための総合的教材・資料については、質量ともに十分とは言えない。そこで、国を超えた教育評価の在り方について相互理解を図るためのカリキュラム開発を目標に、諸外国の教育評価に関する現状や課題の検討・分析を行う。また、The 1st INTERNATIONAL CONFERENCE ON“The Citizenship Education of The Digital Era”(タイ シーナカリンウィロート大学)の構成員(メンバー)として参加・発表(2023年9月23日)、第4回多文化研究と学際的教育に関する国際シンポジウム(中国 山東大学)での発表を予定している。
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Causes of Carryover |
日本・アメリカ・韓国・中国・タイでの教育関連学会(日本カリキュラム学会、日本教育方法学会、中部教育学会、アメリカ教育学会、日韓国際学術学会、Korea Association of Social Education(タイ シーナカリンウィロート大学)、第4回多文化研究と学際的教育に関する国際シンポジウム(中国 山東大学)などの発表・参加などを含め、カリキュラム開発やパフォーマンス評価に関するアメリカの文献研究及び研究会など、現地調査の実施が必要になったため、次年度使用額が生じた。次年度は、アメリカ・日本・韓国・中国・タイの教育関連学会・研究会の参加及び発表などを含め、カリキュラム開発やパフォーマンス評価に関する文献研究及び現地調査の実施を行う。
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Research Products
(9 results)