2023 Fiscal Year Research-status Report
「高次の思考力」を育む学習カリキュラムと教育評価の開発
Project/Area Number |
20K02513
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Research Institution | Aichi University of Education |
Principal Investigator |
趙 卿我 愛知教育大学, 教育学部, 准教授 (30583140)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | パフォーマンス評価 / カリキュラム開発 / 長期的ルーブリック / 教科横断的な視点 / 高次の思考能力 / 真正の評価論 / 国際理解教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、日本のパフォーマンス評価(performance assessment)が小中学校教育の段階において教育制度・実践にどのような影響を与え、子どもの学びや教師の指導改善にいかに寄与してきたのかを明らかにし、発展的な教育評価のための実践的な枠組み(学習カリキュラム及び教育評価システム)を提供することを目的としている。本研究の独自性と創造性は、これまで各研究者の理論的立場や研究方法に委ねられてきたパフォーマンス評価等、欧米発の学習観及び教育評価論を、実際の教育現場の関与を通じて再検討・再構築することである。そのために、日韓の教育現場・現職の教員を研究対象とする点が本研究独自の取り組みであり、さらに本研究の成果を足掛かりに、将来的にアジア諸国の教育事情を踏まえた議論へと繋いでいくという展望もある。具体的には、日韓の協力校(愛知教育大学附属小中学校、名古屋市立東海小学校、みよし市立三好中学校、甲賀市立水口中学校や韓国の小中学校ソウル大学校師範大学附属初等学校、京仁教育大学校附属初等学校、Incheon Gulpo Elementary School等)の協力のもとで、アクション・リサーチを行い、パフォーマンス評価を活かした授業改善に取り組んでいる学校の教科・教科外活動を中心とした評価規準・評価方法を開発している。また、授業改善を行うための実践活動としてパフォーマンス課題とルーブリック作りにおける具体的な評価方法を継続的に調査している。特に、学年を超えて成長を捉えることができる長期的ルーブリックの開発や、それらを活用した授業づくりに取り組み、成果と課題を明らかにすることによって、知識・技能を「活用」する必然性があり、「高次の思考能力」が生起するようなパフォーマンス課題の文脈を設計するために必要な要素とは何かを明らかにしている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、アメリカ・日本・韓国の教育評価(パフォーマンス評価=遂行評価/ performance assessment)改革に関する文献調査、日韓の小中学校における学習カリキュラム開発の検討、諸外国の国際理解教育に関する現状把握という3つの柱で研究を進めている。 ⇒以上の研究成果については、①「オンライン授業の現状と教育評価」『世界と日本の事例で考える学校教育×ICT』明治図書、2023年、②「ポートフォリオ評価」『よくわかる授業論』ミネルヴァ書房、2023年、③「ESDにおける教育評価」「ESD for 2030」TOKAIプロジェクト成果フォーラム(愛知教育大学・一般社団法人SDGsコミュニティ)2023年1月28日の発表、④Current Status and Issues of Citizenship Education in The Digital Era in Japan(The INTERNATIONAL CONFERENCE on the Citizenship Education of the Digital Era)2023年、9月23日の発表、⑤Current Status and Issues of Citizenship Education in The Digital Era in Japan『日韓国際学術研究』(第2号)日韓国際学術学会、2024年等でまとめている。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)日韓の小中学校における実地調査・事例分析から、具体的な実践方法の提示へ:子どもの学びや授業改善を行うための実践活動としてパフォーマンス課題とルーブリック作りにおける具体的な評価方法を継続的に調査・整理する。特に、学年を超えて学びの成長を捉えることができる長期的ルーブリックの開発や、それらを活用した授業づくりに取り組み、成果と課題を明らかにすることによって、知識・技能を活用する必然性があり、「高次の思考能力」が生起するようなパフォーマンス課題の文脈を設計するために必要な要素とは何かを明らかにしていく。 (2)国際理解教育に関する現状把握、並びに担当教師のインタビュー調査:これまでの研究を進める中で、日韓の教育評価や各教科・教科外の授業研究に関わる資料は蓄積してきているものの、「高次の思考能力」を育むための総合的教材・資料については、質量ともに十分とは言えない。そこで、国を超えた教育評価の在り方について相互理解を図るためのカリキュラム開発を目標に、諸外国の教育評価に関する現状や課題の検討・分析を行う。また、アメリカ・日本・韓国の教育関連学会・研究会の参加及び発表などを含め、学習カリキュラム開発やパフォーマンス評価に関する文献研究及び現地調査の実施を行う。
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Causes of Carryover |
日本・アメリカ・韓国での教育関連学会(日本カリキュラム学会、日本教育方法学会、アメリカ教育学会、日韓国際学術学会、Korea Association of Social Education(韓国 ソウル大学)などの発表・参加などを含め、カリキュラム開発やパフォーマンス評価に関するアメリカの文献研究及び研究会など、現地調査の実施が必要になったため、次年度使用額が生じた。次年度は、「日米の教員養成大学おける教育評価の研修プログラム」(米国 インディアナ州大学)の企画・参加、The 2st INTERNATIONAL CONFERENCE ON “The Citizenship Education of The Digital Era”(韓国 ソウル大学)の執行役員として企画・参加・発表(2024年9月7日)を予定している。
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