2021 Fiscal Year Research-status Report
Oracy and Education: Focusing on Primary Schools in UK
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20K02516
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
川地 亜弥子 神戸大学, 人間発達環境学研究科, 准教授 (20411473)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中谷 奈津子 神戸大学, 人間発達環境学研究科, 准教授 (00440644)
勅使河原 君江 神戸大学, 人間発達環境学研究科, 准教授 (60298247)
赤木 和重 神戸大学, 人間発達環境学研究科, 准教授 (70402675)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | オーラシー / 話す能力 / 教育目標 / 教育評価 / 参加の権利 / 意見表明権 |
Outline of Annual Research Achievements |
イングランドにおいて、20世紀初頭から話すことの教育は注目されていたものの、それは標準語の話者を増やすためであった。転換の契機をもたらしたのはウィルキンソンである。彼は、著書Spoken English(1965)において、英国では話し言葉の教育は恥ずべきほどに無視されていると主張した。話し聞くことは人間性の根源であり、すべての教科における学習の条件をなすものと位置づけ、読み書きを通じて養われるリテラシーと同等に重要なものとして、話し聞くことを通じて養われるものをオーラシーと名付けた。その後、英国のオーラシー研究は幾度かの画期を経て、現代では、貧困克服、子どもの権利(とりわけ参加の権利、意見表明権・聴いてもらう権利)保障、話し合うことによる新しい価値創造の観点等から研究が進められている(Littleton, K. & Mercer, N. 2013他)。 近年、英国では、オーラシーを個人の能力(一定の語彙をベースにした推論・物語る力など)ととらえてその欠如に焦点をあてる「オーラシーの赤字モデル」には限界があることが指摘されている(Howe 2019a)。むしろ、その子どもにとって最も重要な話に真摯に耳を傾け、味わい、子どもにそれを伝える中で、子どもの豊かな言語資源にたどり着くことができるし、その方がはるかに人道的であり、教育の見通しを持ちうるというのである。 本研究では、こうした知見が日本の学習指導要領における資質・能力論およびその育成のための理論に重要な示唆を与えると考え、イングランドの初等教育におけるオーラシーの育成について、目標と評価、指導の実際、アートの専門家の役割等に焦点をあて分析を進めた。渡英調査はかなわなかったが、各自文献調査を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
パンデミックの影響で渡英調査は実施できなかったものの、各自文献調査を進め、一定の成果公表を行うことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
文献調査およびオンライン調査を遂行予定。渡英可能となった場合に迅速に調査できるよう関係各所との調整を進める。
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Causes of Carryover |
申請当初の計画では渡英調査の予定で予算を計上していたが、パンデミックの影響で渡英を見送ったため。
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