2023 Fiscal Year Research-status Report
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20K02517
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Research Institution | Wakayama University |
Principal Investigator |
江利川 春雄 和歌山大学, 学内共同利用施設等, 名誉教授 (10259880)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 教員講習 / 中等教員 / 中等学校 / 英語教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和5年度は2年間の延長を含む5年計画の4年目で、以下の調査研究に重点を置いた。 1. 文部省内英語教授研究所が毎年開催した全国英語教授研究大会・語学教育研究大会における語学教員講習の実態解明。語学教育研究所編『語学教育』(1942ー1972年、全122号)の復刻版・全10巻の『語学教育 別巻(総目次・索引・解題)』(182ページ、13,200円)を2023年4月にゆまに書房から刊行した。その中で、語学教育研究所が毎年の研究大会、英語教授法講習や実地指導などの活動を展開し、それらを誌面に反映させることで語学教員の指導力向上を図っていた実態を明らかにした。 2. 文部省中等英語教員講習の講師・参加者を含む英学者の履歴・業績の研究。2024年1月に出来成訓編著『日本英学者人名事典』(全1,196ページ・41,800円)を港の人から出版し、文部省中等英語教員講習の講師だった矢田部良吉、ハワード・スワン、岡倉由三郎、斎藤秀三郎、杉森此馬、茨木清次郎、石川林四郎、村井知至らの年譜・業績・人物像を明らかにした。 3. 文部省中等英語教員講習の講師であった岡倉由三郎に関して、論文「近代日本と英語教育:平田諭治『岡倉由三郎と近代日本』を手がかりに」を『新英語教育』第651号(2023年11月号、高文研)を執筆した。また、語学教育研究所の所長だった市河三喜(東京帝国大学教授)に関連して、「書評 神山孝夫著『市河三喜伝 英語に生きた男の出自、経歴、業績、人生』研究社 英語アカデミズムの巨星を描いた待望の伝記 英語への執念と栄光、帝国の影と人間的苦悩」を『週間読書人』第3507号(2023年9月22日号)に執筆した。 4. 日本英語教育史学会第39回全国大会(令和5年5月)で、1の研究を基礎資料に、「雑誌『語学教育』(1942~1972)の包括的研究」をテーマに研究発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナ禍による研究条件の悪化に加えて、前年度と同様、当初の計画にはなかった文部省内英語教授研究所(1924年創設)および改組後の語学教育研究所(1942年以降)における語学教員講習が大規模かつ継続的に行われていたことが判明したために、基礎資料となる研究所の機関誌『語学教育』全114冊の完全復刻版全10巻の別巻(総目次・索引・解題)の執筆・刊行に多大な時間を割くに至った。その結果、英語教員研修の機能を備えていた「語学教育研究大会」の全容解明に迫れたことは大きな成果である。 文部省中等英語教員講習に関する記事を掲載した『官報』に欠落が判明し、それを調査・補填する必要が生じた。 文部省中等英語教員講習の講師を含む英学者520名の履歴・業績の研究書である出来成訓編著『日本英学者人名事典』を竹中龍範・元香川大学教授と校閲し、鎌倉の「港の人」から2024年1月に刊行することができた。ただし、全1,196ページに達する膨大な事典のため、足かけ10年を要してしまい、本科研研究に若干の遅れを生じさせてしまった。ただし、未解明だった人物誌が明らかになった意義は大きい。
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Strategy for Future Research Activity |
令和6年度は最終年度であるため、欠落情報を補い、研究成果報告書の作成に最大の比重を置く。これまでの研究成果と合わせて、年度内の研究終了は可能である。 明治以降の英語教員講習に関する報告書は、中心を文部省主催講習に置きつつも、①東京・広島の高等師範学校・文理科大学主催の講習、②軽井沢夏期大学や帝国教育会主催など半官半民の講習、③国民英学会・正則英語学校など民間主催の講習、④英語教授研究所・語学教育研究所主催の講習、⑤地方行政機関による講習などを含む明治以降英語教員講習の全体像を明らかにする予定で、その見込みは立っている。 上記の報告書をまとめるとともに、集めた資料や分析結果が膨大なため、重要なものからインターネットでの公開も図りたい。それらによって、今後の英語教員研修の質的向上と英語教育学の発展に寄与したい。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由は、コロナ禍の影響による研究の遅延、および文部省中等英語教員講習に関する記事を掲載した『官報』の一部欠落の判明などにより、研究を1年延長する必要が生じたからである。 令和6年度は欠落分の調査・分析と、報告書の執筆に主要な力点を置きたい。 残された予算については、大半を研究報告書の作成に使用し、残金は生じない予定である。
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Research Products
(7 results)