2020 Fiscal Year Research-status Report
合同学校運営協議会の実態把握と有効性に関する事例研究
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20K02549
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Research Institution | Nagoya University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
大橋 保明 名古屋外国語大学, 外国語学部, 教授 (30387667)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 合同学校運営協議会 / コミュニティ・スクール / へき地・小規模校 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、「合同学校運営協議会は、社会に開かれた教育課程の実現方策として有効に機能しているのか」という学術的「問い」のもと、合同学校運営協議会の実態把握とへき地・小規模校区における事例分析を通して、合同学校運営協議会の有効性について考察するものである。 研究1年目は、合同学校運営協議会の設置状況に関する実態調査やへき地・小規模校区における合同設置型・義務教育学校型に関する実地調査等を予定していたが、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響により研究計画を十分に遂行することができなかった。 合同学校運営協議会の設置状況に関する実態調査については、教育委員会や学校現場の混乱の中で調査実施を見送らざるを得なかったが、文部科学省から調査結果データの任意提供を受けて分析した結果、複数校で1つ設置している協議会が 895協議会(2,188校、CS導入校全体の22.4%)あり、自治体別では北海道105市町村をはじめ全国45都道府県390市町村(CS導入自治体全体の44.4%)で合同学校運営協議会が設置されていることが確認できた。 国内移動が制限されたため、当初予定していなかったコミュニティ・スクールにおける教育実践記録の分析により学校現場への接近を試みた。具体的には、2010~2019年度の日本教職員組合教育研究全国集会第22分科会B小分科会(PTA・地域の連携)における教育実践記録145件のうち、コミュニティ・スクールの教職員による教育実践記録7件(4.8%)を分析対象として、学校教職員の視点からコミュニティ・スクールの教育実践の現状や学校運営協議会制度の成果や課題について考察した。成果として学校基本方針の承認権に関わるさまざまな意見が出しやすくなった一方で、課題として担当者の負担増や教職員の任用に関する意見への警戒感が示されていた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
新型コロナウイルス感染症対策に伴う国内移動制限等により、初年度に計画していたすべての国内現地調査(へき地・小規模校区における合同設置型・義務教育学校型に関する質的調査等)を中止せざるを得なかったこと、また研究2年目に予定していた国外現地調査も海外渡航制限が解除されるまで先送りせざるを得ない状況のため、研究課題の進捗は全体的に遅れていると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
研究2年目は、新型コロナウイルス感染症の感染対策に十分留意しながら、研究1年目に実施できなかった下記の調査について実施する予定である。 合同学校運営協議会の設置状況に関する実態調査については、令和3年4月1日時点の合同学校運営協議会の有無やその特定に関する事項についてCS設置校を有する約900教育委員会に対して悉皆調査を実施する。文科省や都道府県教育委員会等の協力を取りつけるとともに、web調査を設計するなどして確実な回収に努める。 へき地・小規模校区における合同設置型・義務教育学校型に関する実地調査については、合同設置型として北海道や京都府、高知県を中心に4~5校で会議の傍聴やインタビュー調査等を実施する。 次年度以降の諸外国における共同学校運営や学校間連携政策に関する実地調査に向けて、イギリスのFederationやニュージーランドのCommunities of Learning (COL)に関する国内外の文献・資料から学術的調査研究成果を把握するとともに、現地の事情に詳しい研究協力者から専門的知識の提供を積極的に受けるなどして、文献・資料からはわかりにくい最新状況の把握に努めたい。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症対策に伴う国内移動制限等により、初年度に計画していたすべての現地調査(へき地・小規模校区における合同設置型・義務教育学校型に関する質的調査等)が中止となり、主に旅費の執行が滞ったため次年度使用額が生じた。 緊急事態宣言やまん延防止等重点措置が断続的に発令される状況においては次年度の旅費使用計画も見通せないが、調査対象校区・地域を近隣県に変更し調査頻度を上げるなど柔軟に対応したいと考えている。
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Research Products
(3 results)