2020 Fiscal Year Research-status Report
「肯定的な数学的アイデンティティ」の形成を目指した小学校教員養成プログラムの開発
Project/Area Number |
20K02553
|
Research Institution | Mukogawa Women's University |
Principal Investigator |
神原 一之 武庫川女子大学, 教育学部, 教授 (80737718)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
矢野 裕俊 武庫川女子大学, 教育学部, 教授 (80182393)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 数学的アイデンティティ / 小学校教員養成 / 実践的指導力 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和2年度は,研究開始1年目であり調査研究の全体について,研究代表者と研究分担者1名,国内研究協力者4名を加えた4名の研究グループを組織して,研究の開始にあたって全体会を開催し,本研究の研究計画の精緻な検討を行った。コロナ禍で対面による全体会開催ができなかったため,Zoomによる研究会議を計7回開催した。その中で,数学的アイデンティティの基礎資料の共有,質問紙の作成,小学校算数科教師に求められる「実践的指導力」の検討を中心に行った。 (1)「数学的アイデンティティ」の規定:本研究における小学校教員志望学生の「数学的アイデンティティ」を「①算数・数学学習によって形成される自己意識・習慣、さらには②小学校教師としての算数を指導することに関する主体的意識や感覚、自分らしさを生かしていく職業的姿勢」と定義した。①は児童・生徒・学生すべてを対象とした「数学的アイデンティティ」であり,②は小学校教師を目指す学生を対象とした「数学的アイデンティティ」である。 (2)小学校算数科教師に求められる「実践的指導力」:研究チームの協議により,3つの大項目「算数・数学の内容に関する知識と信念」,「算数授業の展開に関する知識・技能と信念」,「算数指導実践」とそれぞれに関する小項目として合計27項目を設定した。 そして,学生の「数学的アイデンティティ」形成に係る実践の事例を取り上げ,2020年12月全国数学教育学会(遠隔による開催)にて「小学校教員志望学生Aの数学的アイデンティティ形成の一側面- COVID-19禍における児童への遠隔による学習援助を通して-」のタイトルで発表を行った。一方計画していた大学における授業研究はコロナ禍で実現できなかったが,広島大学,福島大学,広島文教大学の実践から大学における算数教育のカリキュラムに関する情報収集を行うことができた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
令和2年度に計画していた以下の3点については実施することができた。 ①小学校教員志望学生の「数学的アイデンティティ」を定義すること,②小学校算数科教師に求められる「実践的指導力」の検討を行い明確化すること,③「数学的アイデンティティ」に関するアンケートの修正を行うこと。 しかしながら,当初計画していた海外の研究協力者も含めた「第1回授業研究」がコロナ禍のため開催できなかった。以上のことからやや遅れていると判断した。
|
Strategy for Future Research Activity |
令和3年度は,国立大学2校(1年生,2年生),私立大学3校(1年生,2年生,3年生)にアンケート調査を実施すると共に,アンケートの横断的研究を米国,フィンランドに拡張する。縦断的な調査の1年目としてA私立大学の3年生の教育実習前後の「数学的アイデンティティ」の変容を調査して分析する。なお、国内でのアンケートは既に依頼済みであり、今後分析に力点を置く。海外へのアンケートについては翻訳が済み、今後実施を依頼し、9月以降に回収し分析を行う。これらの分析の結果の一部を学会で報告する予定である。昨年度実施できなかった大学における授業研究を可能な範囲で数回実施していく。コロナ禍で対面での実施が難しい場合、遠隔による対応を検討する。海外の研究協力者の来日も予定しているが難しい場合、日本の研究協力者のみで実施したり,時期をずらして次年度へ移行するなど柔軟な対応を行う。
|
Causes of Carryover |
令和2年度実施予定であった対面による研究会議と第1回授業研究がコロナ禍のため開催することができなかった。そのため、それに係る旅費及び謝金として予定していた1240000円を使用することができなかったため次年度使用額が生じた。コロナウィルス感染拡大に係る国際情勢に左右されるところもあるが、令和3年度は実施できなかった授業研究に係る国内外旅費、アンケート実施・データ整理に係る人件費・謝金等を主として使用していく予定である。
|