2021 Fiscal Year Research-status Report
The Local Context in Malaysia and Indonesia and the Japanese Educational Model: An Analysis of Interaction
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20K02557
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Research Institution | Bunkyo Gakuin University |
Principal Investigator |
恒吉 僚子 文京学院大学, 外国語学研究科, 特任教授 (50236931)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 教育トランスファー / 日本の教育モデル / 社会性と情動的学習 / ローカルとグローバル / マレーシアの教育 / インドネシアの教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度も昨年同様、コロナ禍であったため、マレーシアとインドネシアでも学校が臨時休校になり、国境を越えての往来が制限され、日本の教育モデル受け入れをめぐる動きも遅れた。しかし、同時に、コロナ禍によってオンライン化が進み、一連のオンライン・インタビューを行なった。(1)本科研で問題にしている日本のモデルTokkatsuに先立ち国際化したレッスン・スタディに関しての受入れ社会の文脈に関する変容のインタビュー、(2)マレーシアにおける全人的な教育(マクムール)(行政)と、イスラム教育における教科と非教科を統合する上で日本のTokkatsuモデルを参考にしようとするマレーシ国際イスラム大学関係者のオンラインインタビュー、(3)JICA支援が一番早く行なわれたエジプトに関しての情報収集、(4)インドネシアにおいてはキリスト教系の全人的な志向が持っていた学校文化と融合させて行なっている例のオンラインインタビューをした。こうして、人格形成という社会文脈との関連性が高い日本の教育モデルTokkatsuが学校の臨時休校に阻害されながらも複数の社会文化的コンテクストで展開される中、モデルの変容が見られるようになっているのが今日の状況であり、その過程は、図書の一部やオンラインシンポジウム等として発信した(業績参照)。 来年度は授業研究の世界学会WALSにおいて筆者が基調講演、続いて日本特別活動学会で国際発信がプロジェクト化され、いくつかのTokkatsuセッションを組む計画が進んでいる。また、マレーシア国際イスラム大学では、来年度教員が派遣され、日本の全人的な枠組みから示唆を得てイスラム教育における全人的枠組みをとらえなおうとうとしている。それに関しては、9月には本研究プロジェクトのテーマと関連付けたシンポジウムを企画している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
対面で会って実施するはずであった調査やシンポジウムがコロナのために遅れ気味であったが、感染状況の落ち着きにより、5月にマレーシア国際イスラム大学から教員が来日、9月には現地で日本のTokkatsuモデルを受けてのマレーシアのイスラム教育モデルのシンポジウムを予定している等、前進している。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度は本研究の最終年度であり、国際発信に力点がある。しかし、同時に、過去二年余りにおいて、本来計画されていた「参与観察とインタビュー」のうち、前者が海外でできなかったこともあり、国際発信と学校観察調査とを同時並行させる。 具体的には、9月の世界研究授業学会(World Association of Lesson Study)のマレーシア・クアラルンプール大会において、本研究代表者が基調講演で最初に日本の包括的モデルとして海外に発信されたレッスンスタディと、現在、エジプト、マレーシア、インドネシア等に受容されつつある日本の教育モデルTokkatsuの関係について問題提起した後、日本特別活動学会の教員が国際発信する予定である。色々な社会に「トランスファー」されるにあたって変容した授業研究の先行例に比べて、Tokkatsuはより人格・価値に関わる領域の教育である。こうしたTokkatsuの変容について、関係各国からの代表者に聞き取りをすると同時に、それぞれの国におけるプロセスを重視した国際比較を行なう。例えば、エジプトはJICA支援を受けた実践であり、比較的日本モデルを忠実に実施してきたが、マレーシアでは、Tokkatsuを参考にしたマレーシアのモデルをJICAの支援でこれから模索する一般の学校(教育省)と、イスラム教育の推進を使命とし、そこに日本モデルの受容が模索されるマレーシア国際イスラム大学の試みの志向の違いがある。後者に関しては、改革チームの一人が5月、6月に日本(筆者関係)でモデルを学び、9月にはイスラム教育との融合についての先方からのシンポジウムや学校観察を予定している。こうした国の間、そして、国の中での変容とその要因のヴァリエーションをおさえながら、非西洋から非西洋への教育トランスファー、変容や新しい共通モデルの可能性等を模索したいと思っている。
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Causes of Carryover |
当該年度においては、海外における調査や国際シンポジウムがコロナ禍によりいずれもできなかった。それに代わってオンラインでインドネシア等の参加者を招いて国際シンポジウムを行なったが、オンラインのため、費用が生じていない。次年度はポストコロナに移行しているであろうという認識のもと、本来当該何度において行うはずであった海外協力者との対話(次年度招聘)、マレーシアにおける国際シンポジウムを最終年度にまとめて計画した。次年度は本研究の対象国となっているマレーシアの独自モデルの生成に関してマレーシア国際イスラム大学でカンファレンスを対面式に行なう予定をたてている(イスラムと日本式の全員的な枠組みからの教育からの示唆)。また、インドネシアとマレーシアの関係者も含め、世界授業研究学会(マレーシア)において、日本式の全人的な教育を基調講演(本研究代表者)、二つのシンポジウムとブースによって発信すると同時に、独自のモデルの生成に向けての交流をしようとしている。
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Research Products
(12 results)